トマト 萎ちょう病
トマトがかかる病気の中に、萎ちょう病(萎凋病)という病気があります
園芸を初めて間もない方などは、聞き慣れない名称かもしれません。
トマト以外にも、ナス、ジャガイモもかかる可能性のある病気です。
萎ちょう病は、感染してしまうと、たいへん厄介な病気の一つです。
感染しないように事前に対策を知り、感染してしまった時のために、
症状と対策を覚えておきましょう。
[トマト 萎ちょう病]
■萎ちょう病の症状
萎ちょう病の最も分かりやすい症状は、萎れの症状です。
トマトの株のどちらか片側の、下方の葉が萎れる現象が出ます。
不思議なことに、夜になるとその葉は萎れが治り、元に戻ります。
ところが、また朝になって気温が上がってくると、葉が萎れてしまいます。
これを何度か繰り返しているうちに、
葉の色がだんだんと薄くなり、黄色っぽく変わっていきます。
さらに症状が進むと、下の方にだけ出ていた症状が、
上の方にも出るようになってきます。
そのうち、最初に症状が出始めた葉は、
元に戻ることがなくなり、枯れて落葉します。
また、よく見ると株元から萎れの症状が出て黄変した葉のあたりまで、
茎が硬くなっているのが分かると思います。
トマトの地上部は見るからに葉が萎れたり、
茎の繊維が硬くなるなどの症状が出るため、すぐに分かります。
ところが、感染して症状が出るのは地上部だけではなく、根にも現れます。
感染してすぐの頃は、根にはあまり変化が見られません。
トマトの萎ちょう病の症状が進むと、根のところどころが茶色く変色し、
最終的には全体的に茶色くなってしまいます。
根や葉、茎に異常が出ることから、株全体の生育が悪くなります。
何株か同じ品種のトマトを育てている時、他よりも生育の遅い株があれば、
上記の症状がないかチェックしましょう。
萎ちょう病の菌は、土中に数年も潜んでいます
■萎ちょう病の原因
萎ちょう病の原因となる菌は、カビの仲間です。
高温の時期に感染し、発病することが多いため、
高温期に植え付け・生育するトマトは、栽培中常に感染する可能性があります。
以前に萎ちょう病に感染した場所には、原因菌が土の中に潜んでいます。
萎ちょう病の原因菌は、土の中に長く存在し、数年経ってからでも感染します。
トマト、ナス、ピーマンなどナス科の連作をすることにより、
原因となる菌が年々増えていき、感染率が上がり、
感染してまた菌が増えるという悪循環に陥りやすくなります。
連作をする場合は、萎ちょう病に耐性のある接ぎ木苗を育てたり、
土壌を消毒してから栽培するようにします。
萎ちょう病の原因となる菌は、根にできた傷から侵入します。
水はけの悪い土で育てていると、根が傷むこともあるため、感染率が上がります。
他にも、土寄せや中耕をする時、追肥の時など、乱暴に株元を触ると根が傷みます。
こういったことによってできた傷からも、萎ちょう病の原因菌は侵入します。
トマトの根が病気に感染しないためにも、生育のためにも傷つけないように扱いましょう。
また、連作をすることで、センチュウ被害に合うことがあります。
センチュウによる根への攻撃で傷が入り、
そこから菌が侵入することもあるので注意が必要です。
また萎ちょう病は、種子による感染も確認されています。
自分で種を採って翌年も同じトマトを栽培する場合は、
萎ちょう病に感染していない株から種を採取するようにします。
■萎ちょう病にかかったら
萎ちょう病は、残念ながら発病した後は薬剤を使っても完治が難しい病気です。
萎ちょう病に感染すると、生育も著しく悪くなり、着果不良も頻発するようになります。
そのため、感染後は満足に生育し、収穫量をあげることができません。
そればかりか、長くその場所に居座ることで、菌の数を増やしてしまいます。
トマトが萎ちょう病に感染したと分かったら、
感染した株を周辺の土ごと掘り上げて処分します。
感染株を畑に残したり、中途半端に地上部だけ刈り取って処分すると、
どこかに残った菌が繁殖し、周りの株に感染して広がっていきます。
感染株を処分する時は、必ず根から掘り上げるようにし、
掘り上げた株はその場に残さず処分しておきます。
・まずは予防を
感染してからの治療が難しい萎ちょう病を制するためには、
感染しないことが最大の防御となります。
萎ちょう病に感染しないために有効なポイントをご紹介します。
◎効果的予防策
・以前に感染した場所は消毒をする
・容器栽培の場合は、新しい用土を使う
・水はけの良い土を使う
・植え付けや栽培中の手入れの時、根を傷めないようにする
・連作を避ける
・連作する場合は接ぎ木苗を利用する
土壌消毒をする場合、冬の寒さを利用した消毒法や、
太陽の熱を利用した消毒法なら、簡単で薬剤も使わないのでお勧めです。
薬剤を使って消毒をする場合は、ガスタード、キルパー、ベンレート、
などの薬剤を使うことができます。
トマトの接ぎ木苗であれば、何でも良いというわけではありません。
接ぎ木苗であっても、良苗でなければ、植えてもうまく育つことができません。
接ぎ木苗で病気に耐性があり、良い苗のポイントをクリアした苗を選びましょう。
*詳しいトマトの栽培方法は、下記をご覧ください。
・トマト プランターの育て方
・トマト 地植えの育て方
・ミニトマト プランターの育て方
・ミニトマト 地植えの育て方
・トマト 種からの育て方