トマト 高温障害
6月下旬、通販から送られてきた苗たち、輸送中の高温で、葉が巻き花が落ちています
トマトは夏が旬のため、暑さには強いイメージがあります。
けれど、実際に育ててみると、高温期に調子を崩すこともあります。
高温が続いた時に不調が出た場合、高温障害と呼ばれます。
トマト栽培での高温障害では、どのような症状が出るのでしょうか。
[トマト 高温障害]
■主な症状
・花や蕾が落ちる
高温が続くと、丈夫で育てやすいトマトであっても、調子を崩します。
トマトの高温障害でよく起きるのが、花や蕾が落ちる現象です。
トマトは暑さに強い印象ですが、高温が続くと疲れやストレスによって、株が弱ります。
花や蕾をつけることは、トマトにとって養分を多く使うことなので、
体力を温存するために、花や蕾が落ちやすくなります。
肥料切れや水切れでも、似たような症状が出ます。
・葉が小さく巻く
高温障害が起きると、葉にも症状が出やすいです。
トップの画像のような症状が出ます。
葉が小さくなる、あるいは細くなったり、色が薄くなったり、
内側に巻いたりといった症状が出る場合は、高温障害の可能性が高いです。
ウィルス病や萎凋病、芯止まりの症状に見えることもあるので、
判断には経験と知識が必要になります。
トマトの裂果
・乱形果、空洞果、着色不良、尻腐れ、裂果
高温障害になると、実にも影響が出ます。
実の揃いが悪くなり、形もいびつになりやすいです。
また、高温期にホルモン処理を行うと、
切った時に中が空洞になる空洞果の発生が増えます。
本来の色とは違う着色不良などの症状も出ます。
高温になると、土中からの養水分の吸収も難しくなるため、尻腐れ果も多くなります。
強い直射が当たることで、実が割れやすくなり、裂果も増えます。
トマトの尻腐れ病
■主な原因
・30度以上の日が続く
トマトは高温に強い野菜ですが、30度以上の高温が数日以上続くと、
高温障害が起きやすくなります。
日本の夏はとても暑く、近年は異常気象により酷暑となる日も増えています。
そんな中、何も対策しないまま過ごすと、高温障害が起きないことの方が少なくなります。
・局所的に強い直射が当たる
ハウス内の栽培などでは、ハウス内が想定外に高温になることがあります。
また、直射の当たるエリアと当たらないエリアでは、温度に差が出てくるため、
症状が出る場所と出ない場所も出てきます。
・高温期中の育苗
抑制栽培用の育苗などは、8月の高温期に行うことが多いです。
そのため、育苗中に高温障害を起こすことも少なくありません。
ただ、育苗中は高温障害に陥っていても、目立った症状が出ない場合が多いです。
それは、まだ蕾も実もつていない、苗が小さな状態であるためです。
高温期に育苗した苗の影響は、実際に花が咲いたり、
実が肥大してきてから症状に気付くことが多いです。
高温期に育苗した苗は、変形果などの発生が多くなります。
ハウス内で調子を崩したトマトの株、温度と湿度には注意します
■対策
・日除けを行う
強い直射が当たりすぎる場合は、日除けが効果的です。
簡易的に寒冷紗などを使うのも良いですし、遮光ネットなどを使って、
しっかりと光を遮るのも良いでしょう。
特に西日が当たると、土中が高温になりやすく、乾燥も助長します。
西日が当たる場所には、日差しを遮れるような工夫をしておくのがお勧めです。
・ハウス内の換気
ハウス栽培の場合は、気温によってハウス内の換気を行いましょう。
8月の高温期でなくても、春~初夏の天気の良い日中は、高温になりやすいです。
ハウス内の温度のチェックを行い、必要であれば換気を行って温度管理をします。
高温障害が起こると、回復までに時間がかかることがあります。
できれば目立った症状が出る前に、簡易的にでも対策をしておくと良いでしょう。
■判断基準
ウィルス病など、すぐに対処が必要になるような病気と、症状が似ています。
判断するのは素人には難しい場合が多いため、
大規模な畑やハウスであれば、専門家に判断を委ねた方が良いでしょう。
家庭菜園など、株数が少なく、他にトマトを育てていないのであれば、
対策を実行しつつしばらく様子を見ます。
状態が改善されないのであれば、高温障害でない可能性が高くなるので、
他の原因を探しましょう。
*詳しいトマトの栽培方法は、下記をご覧ください。
・トマト プランターの育て方
・トマト 地植えの育て方
・ミニトマト プランターの育て方
・ミニトマト 地植えの育て方
・トマト 種からの育て方
・フルーツトマトの育て方