トマト 裂果
縦に横に、実が割れています
トマトを育てていて、初心者~上級者まで、悩むことが多いのが裂果です。
裂果とは、字のごとく実が割れてしまう症状のことで、実割れとも呼びます。
トマト栽培では起こりやすい症状の1つで、割れた実は商品価値が下がることから、
農家にとっては大打撃になることもあります。
トマトの裂果は、なぜ起こるのでしょうか。
裂果の症状の種類や原因、対策をまとめたので、参考にしてください。
[トマト 裂果]
■主な症状
・割れ方は3種類
トマトの裂果症状には、大きく分けて3種類の割れ方があります。
割れ方によって原因が異なる場合もあるので、注意深く観察しましょう。
◎同心状裂果
ヘタのすぐ下の部分がコルクのような状態になり、
それを中心に同心円状に亀裂が入ると、同心状裂果と呼ばれます。
家庭菜園だけでなく、プロの農家でもよく怒る症状で、
スーパーで市販されているトマトに見られることも多いです。
◎放射状裂果
同心状裂果とは違い、縦方向に亀裂が入る裂果です。
ヘタ下のコルク部分を中心に、放射状に亀裂が入るため、
放射状裂果と呼ばれます。
◎側面裂果
側面裂果は、同心状裂果と放射状裂果を合わせたような裂果です。
同心状裂果と異なる部分は、コルク部分の近くだけでなく、
離れた側面にも亀裂が入る点です。
さらに、放射状裂果とも異なるのが、縦方向だけでなく、
横方向にも亀裂が入る点です。
トマトの側面に、不規則な亀裂が入ったら、側面裂果と考えて良いでしょう。
■主な原因
・乾湿の差が激しい
裂果が起こる原因の多くは、乾湿の差が大きいことです。
トマトは乾燥に強い植物ですが、実が大きくなる時に水分が足りないと、
皮が硬くなります。
そこに大量の水が入ると、急激に多量の水分を吸い上げ、実も勢いよく肥ります。
この時、皮の伸びと実の中の生長が合わず、皮が破れて裂果します。
・強い直射日光
強い直射に当たり続けることも、裂果の原因となります。
直射が実の表面に当たり続けことで、トマト自身が実を守るために、皮を硬くします。
すると、過度に乾燥させた時と同様に、
内側の生長と皮の伸びのバランスがとれずに、裂果してしまいます。
・窒素過剰
元肥や追肥で窒素が多いと、どうしても生育に勢いがつきます。
すると、実のヘタの下がコルク化し、硬くなります。
コルク化した部分が小さければまだ良いですが、大きくなるとコルク化した部分は硬く、
弾力がない状態のため、裂果しやすくなります。
■対策
・こまめな水やり
乾湿の差を大きくしないためには、適度な水やりが欠かせません。
一時期は、水をできるだけ節制して育てる栽培法が人気でしたが、
水分不足による着果不良や生育不良、裂果などが多く発生する原因となりました。
もちろん、水分を減らして栽培する方法で、おいしいトマトを育てることもできます。
けれど、その栽培法をきちんと理解し、完璧な管理ができないのであれば、
適度な水分を与えた方が、おいしい実を収穫でき、成功率が上がります。
トマトは、朝に水を与えた後、
夕方頃に余分な水が切れている状態が望ましいといわれています。
水はけの良い土で育て、土が湿っている間は水やりをせず、
乾いたら水を与えるようにすると、無駄な乾燥や過湿が起こりにくくなり、
裂果も抑えられます。
・雨よけ栽培
初夏~秋にかけて、日本の天候はめまぐるしく変化します。
特にここ数年は、異常気象の影響で、雨が何日もまったく降らないかと思ったら、
多量の雨が降り続くこともあります。
乾燥しているところに雨が多量に降ると、
水やりをしていなくても水分がトマトに吸収されるため、裂果の原因となります。
また、パンパンに張った状態のトマトに雨粒が当たることで、
裂果を助長することもあります。
簡易的にでも、雨よけをしておくことで、いきなり大量の水が流れ込んだり、
雨粒が当たるのを防ぐことができます。
・軽い遮光
強い直射によって皮を硬くしないために、軽く遮光するのも良いでしょう。
トマトは日照を好みますが、夏の西日などは強すぎます。
本来はトマト自身の葉が陰を作り、実に強い光が当たらないようにしていますが、
栽培状態によっては、それもままならないことがあります。
直射が当たりすぎている場合は、遮光ネットや寒冷紗、ヨシズ、
スダレなどを使って遮光し、直射が当たる時間を調整します。
・裂果しにくい品種を選ぶ
近年は、トマトの品種改良にかなり力が入っています。
食味の良い品種はもちろん、病害虫に強かったり、
裂果などの症状に強いものも出ています。
何度育てても裂果が気になるという場合は、
裂果に強い品種、アイコ、麗夏などを選んでみてはいかがでしょうか。
プロ農家向け品種でなくても、裂果しにくい品種はたくさんあります。
■判断基準
家庭菜園での栽培であれば、裂果が起こっても食べられなくはありません。
けれど、やはりキレイな状態で収穫したいものです。
プロの農家であれば、裂果したトマトは商品価値が下がりますし、
割れた部分から傷むこともあるため、出荷が難しくなります。
大量に発生すれば、それだけ収入にも影響するので、
裂果しないように前もって対策をしておいた方が良いでしょう。
*詳しいトマトの栽培方法は、下記をご覧ください。
・トマト プランターの育て方
・トマト 地植えの育て方
・ミニトマト プランターの育て方
・ミニトマト 地植えの育て方
・トマト 種からの育て方
・フルーツトマトの育て方