トマト 根腐病
根腐病が疑われるトマトの株
トマトの病気に、根腐病というものがあります。
根腐病は、カビが原因で夏の高温時期にかかりやすく枯死する場合もあります。
根腐病の治し方や予防対策などを画像を交えて分かりやすくご紹介します。
よく似た名前の病気に、褐色根腐病がありますが、これは違った病気です。
この二つの最大の違いは、主に土栽培か水耕栽培かです。
根腐病は、主に容器に養液を入れ、そこで根を育てる水耕栽培を行う場合に、
感染しやすい病気です。
土栽培を主に行っている場合は、それほど頻発しない病気です。
これからトマトの水耕栽培をしようと思っているのであれば、
どのような病気かを知っておくと役立ちます。
[トマト 根腐病]
■根腐病の症状
最初、根の一部が茶色く変色します。
そこから症状が進むにつれ、変色が全体に広がって、
すべての根が茶色くなってしまいます。
その後、さらにひどくなってくると根が腐り始め、色も茶色から黒っぽく変わります。
根が変色し始めると、地上部にも症状が出るようになります。
株の頭頂部のみが晴れた昼間に萎れるようになります。
夜になると萎れた頭頂部は元に戻りますが、翌日の昼間にはまた萎れます。
昼間に萎れて夜に戻る状態が半月ほど、長ければ1ヶ月ほど続きます。
根腐病の原因となる菌は2種類あり、ピシウム ミリオタイラムの場合と、
ピシウム ディソトカムの場合があります。
ミリオタイラムの場合、頭頂部の萎れの症状が出た後、
その症状が株全体へと広がります。
株全体が萎れるようになると、下葉の方が黄色く変色し、
最終的には枯死にいたることになります。
ディソトカムが原因の場合は、萎れの症状が全体に広がることはなく、
頭頂部のみにとどまり、枯死に至ることはありません。
調子を落としている、ハウス栽培の大玉トマト
■根腐病の原因
水耕栽培で、主に感染する根腐病ですが、原因菌は土の中に潜んでいます。
養液で育てているのに、なぜ土にいるはずの菌に感染するかというと、
完全に土をシャットアウトしていないためです。
水耕栽培であっても、最初は土で育苗することが多いです。
育苗の時に使っていた土に原因となる菌がいた場合、
その土で育苗していた株にその菌が付着している可能性があります。
その後、養液栽培に切り替えると、
菌は養液の中で繁殖して根に入り込み、感染します。
他にも、養液を入れている容器の中に、
雨などの跳ね返りによって泥が入り込むことがあります。
◎ベランダ栽培の注意点
家庭のベランダなどで水耕栽培していれば、
雨が当たることもなく、跳ね返りはなさそうに見えます。
ところが棚を使って下段でトマトの水耕栽培をし、
上段で他の植物の鉢植えなどを育てている場合は危険です。
上段で育てている植物に水を与えた時、
そこから流れ出る水は一度土を通って出てきた水です。
その流れ出た水が、下段にあるトマトの水耕栽培の容器に入れば、
跳ね返りと同じように菌が入り込む隙になります。
根腐病の菌は乾燥にも強いため厄介です。
以前に根腐病が出た容器を軽く洗うだけで、
翌年もトマトの水耕栽培を行うと、容器に残った菌が繁殖し、感染します。
■根腐病にかかったら
根腐病に感染した株が出た場合、それを止めるのはとても難しいです。
1つの容器で複数の株を育てていた場合、
症状が出た株と同じ養液に浸かっていたことになります。
養液の中で菌が繁殖していれば、
まだ症状の出ていない株でも感染していないとは言い切れません。
また、感染株を処分し、容器を洗って養液を交換したとしても、
容器に菌が残っている可能性があります。
別の新しい容器を使い、新しい養液を作って栽培を再開すれば、
感染していなければ助かることもあります。
トマトの水耕栽培は、新しい容器と溶液を使うと安心です
・根腐病の予防
根腐病に感染してしまった場合は、その後の治療が難しいため、
まずは根腐病に感染しないよう、予防することが大切です。
まずは水耕栽培をするための苗は、清潔な土で育苗するようにします。
古土などではなく、新しい用土を使うと安心です。
また、水耕栽培をする容器は、消毒をしておきます。
以前に同じようにトマトを栽培した容器はもちろん、
新しいものも念のため消毒しておくと良いでしょう。
ただし、根腐病の菌は塩素系の消毒が効きません。
どちらかというと熱消毒が効果的なので、熱湯をかけたり、
太陽光を使う、水蒸気を当てるなどして、熱消毒を行いましょう。
オクトクロス、小さいサイズもあります C)三島光産株式会社
専用の薬剤としては、オクトクロスというものがあります。
苗を植え付ける前日に、養液の中にこの薬剤を加えることで、
養液と養液につけた苗の根も消毒することができます。
市販の土を使って育苗した苗を使う場合、どうしても消毒がネックになってきます。
その場合は、このオクトクロス薬剤を使うと、養液だけでなく、根も消毒できるため便利です。
養液のpH値が高くなると、感染する確率が高くなるため、
できるだけ高くならないように調整しておくようにします。
また、ピシウム ミリオタイラムは高温期に感染しやすく、
ピシウム ディソトカムは低温期に感染しやすい特徴があります。
高温期に感染しやすいミリオタイラムは、
養液の温度を20度~23度くらいに抑えると、感染率を下げられます。
*詳しいトマトの栽培方法は、下記をご覧ください。
・トマト プランターの育て方
・トマト 地植えの育て方
・ミニトマト プランターの育て方
・ミニトマト 地植えの育て方
・トマト 種からの育て方