トマト カルシウム欠乏
カルシウム欠乏で尻腐れの症状が出ています、窒素も多く茎が太く葉の色が濃いです
トマトを健全に育てるためには、
基本となる窒素・リン酸・カリの3要素の他にも、色々な微量成分が必要です。
中でも重要なのが、カルシウムです。
トマトの生育に必要不可欠なカルシウムが不足すると、様々な症状が出ます。
トマト栽培でのカルシウム欠乏の症状や原因、対策などをまとめました。
[トマト カルシウム欠乏]
■主な症状
尻腐れ果とその断面
・尻腐れの症状が出る
カルシウム欠乏の症状として代表的なのが、尻腐れの症状です。
実のお尻の部分が黒や茶色っぽい色に変色し、腐ったように柔らかくなる症状です。
一見すると病気のように見えますが、これも生理障害の1つです。
尻腐れの症状が出た実は、どうしても可食部分が減りますし、
場合によっては破棄の対象となるため、収量が落ちます。
栽培初期には、尻腐れの他に茎葉にも症状が出ますが、
栽培後期になると、茎葉は健全な状態で、実にだけ尻腐れの症状が出やすくなります。
・株全体が委縮する
カルシウム欠乏が起こると、トマトの株全体が小さくなります。
同じ品種の健全株と比べると、全体的にコンパクトで生育が悪いように見えます。
カルシウム欠乏による生長点の萎縮
・若い葉の異変
カルシウム欠乏になると、生長点付近の若い葉に、目立った症状が出ることが多いです。
葉が小さく委縮するだけでなく、黄化したり、葉の縁部分が茶色く変色し、
枯れることもあります。
・根の異変
土栽培では、常に根の状態を見ることはできませんが、
水耕栽培をしている時にカルシウム欠乏になると、根にも異常が出ることが分かります。
健全なトマトの根は、白くふさふさとしていますが、
カルシウム欠乏となったトマトの根は、全体的に茶色っぽく変色し、元気がなくなります。
■主な原因
・窒素、カリ、塩類濃度が高い
土中のカルシウム分が少ない場合は、カルシウムを足せば済みますが、
それ以外の原因もあります。
カルシウムは、拮抗関係となる成分がいくつかあり、
窒素やカリが多い状態だと、カルシウムがうまく吸収できなくなります。
また、塩類濃度が高い場合も、カルシウムの吸収阻害が起こるため、
カルシウム欠乏が起こりやすくなります。
・過度な乾燥
トマトは乾燥にも強いですが、あまり土を乾燥させすぎると、色々な弊害が起こります。
その1つが、カルシウム欠乏です。
土が乾燥すると、カルシウムの吸収率が悪くなり、カルシウム欠乏が起こります。
・空気中の乾燥と高温
カルシウムの吸収が悪くなるのは、土の乾燥だけではありません。
空気中も乾燥し、気温が高い状態の時にも、カルシウム欠乏が起こりやすくなります。
■対策
・石灰の施用
菜園で使うカルシウム分を多く含む資材として、石灰があります。
石灰にも種類がありますが、施用量をきちんと確保しておくことで、
カルシウム欠乏を防止することができます。
ただ、石灰を多量に土に混ぜ込むと、今度はカリの吸収が阻害され、
別の生理障害が起こることになるので、たくさん入れれば良いというわけではありません。
・適度な水分
トマトが乾燥に強いからといって、むやみに水を減らして栽培すると、
カルシウム欠乏やその他の生理障害や、根傷みなどを引き起こします。
露地栽培では、雨が降るからと過信することがありますが、
近年の異常気象によって、乾燥が進みやすくなることがあります。
こまめに見回りをして、必要であれば水やりを行いましょう。
また、土の乾燥が進まないよう、敷きワラなどのマルチをしたり、
西日を遮るなどの工夫をすると、効果的です。
さらに、土中だけでなく、空気中の水分にも配慮しましょう。
空気中があまりにも乾燥している時は、霧状に水を散布し、
空気中の湿度を上げると良いでしょう。
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C)日本農業システム
・応急処置
カルシウム欠乏がもし起こったら、
応急処置としてカルシウム剤の葉面散布が効果的です。
塩化カルシウム水溶液を、1週間おきに2回~3回散布し、
原因となる項目を改善すれば、比較的早くに回復します。
■判断基準
生長点部分の委縮や黄化は、モザイク病と似た症状です。
モザイク病の場合は、葉脈間の黄化ではなく、
葉脈とは関係ないモザイク状の症状が出ることで、
カルシウム欠乏と区別することができます。
*詳しいトマトの栽培方法は、下記をご覧ください。
・トマト プランターの育て方
・トマト 地植えの育て方
・ミニトマト プランターの育て方
・ミニトマト 地植えの育て方
・トマト 種からの育て方
・フルーツトマトの育て方