トマト アザミウマ
アザミウマという害虫の名前を耳にすることがあると思います
バラなどにつく虫として知られていますが、実はトマトにもつくことがあるのです。
吸汁するタイプの害虫ですが、アザミウマの被害は食害だけではありません。
アザミウマは、トマトにどのような被害を与えるのでしょうか。
[トマト アザミウマ]
■アザミウマとは?
ミナミキイロアザミウマ
アザミウマは、体長が1mm~2mmほどのとても小さな虫です
細長い形をしていて、茶色や黄色っぽい色をしています。
アザミウマには、多くの種類がありますが、中でもトマト栽培で注意したいのが、
ヒラズハナアザミウマとミカンキイロアザミウマとダイズウスイロアザミウマです。
プロであれば見分けることもできるかと思いますが、
一般のかたには、見分けるのが少し難しいかもしれません。
いずれにせよ、何か小さな虫がついていたり、
花や実、葉に異変があった場合は要注意です。
アザミウマは、気温が高く乾燥した環境を好みます。
そのため、苗を植え付けた頃や梅雨の頃は発生が少なく、
梅雨が明けてからの発生が多くなります。
ピーマンの花に小さな虫が
拡大して見ると、アザミウマです
年によって、空梅雨や気温の上昇が早くなった場合は、
梅雨が明ける前から発生が増えることがあるので、注意します。
アザミウマは繁殖能力が高く、一生のサイクルも10日~14日と短いため、
被害が少ないからと放っておくと、あっという間に広がることがあります。
アザミウマは吸汁性の害虫で、食害された痕は茶色く変色します。
柔らかい部分を好んで吸汁する傾向があるので、
新芽に近い葉や花びらなどに被害が出ることが多いです。
それでも、絶対にその部分にしか被害が出ないというわけではなく、
狙えるところはすべて狙うのがアザミウマです。
葉も新旧関係なく被害が出ることもあるので、
アザミウマの被害がないかチェックする時は、下葉の方も欠かせません。
また、花の付け根にある子房部分に産卵するため、
実が大きくなってくると、産卵された部分が白く膨れたようになります。
膨れた部分には、産卵痕の小さな穴が凹みのように残るので、
他の病気との区別ができます。
アザミウマ被害で厄介なのが、アザミウマが媒介するウィルス性の病気です。
トマト黄化えそという病気にかかると、葉の萎凋や茎内部の空洞化や、
実が小さいうちに落ちるため、収量が極端に減ってしまいます。
アザミウマの食害自体はひどくなくても、アザミウマが媒介した病気に感染して、
株全体が被害を受ける場合も少なくありません。
■アザミウマ予防方法
アザミウマ自体は小さく、トマトにだけつく害虫ではないため、
どこからやってくるのか分かりません。
それでも、アザミウマ自体の数が少なくても、
病気を媒介されたら手の打ちようがありません。
できるだけアザミウマがトマトに近づかないよう、
数が増えないように予防することが大切です。
・見回りする
まずは見回りの強化です。
葉の裏や新芽、花の部分にアザミウマがいないかをチェックします。
また、実が育つ時に、産卵されて白く膨れた場所がないかをチェックします。
こまめに見回ることで、被害を最小限にとどめることができます。
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・防虫ネット
育苗数が少ない場合、スペースの問題でネットの設置が難しい場合もあります。
株数が多い場合や、スペースが広い場合は、
ネットによってアザミウマが入り込まないようにするのは有効です。
網目が1mm以下のものを選び、トマトの周りに設置します。
・光る物
アザミウマは光るものが苦手とされています。
そのため、トマトを植える畝に、シルバーマルチを使うと効果があります。
また、プランターなどの容器栽培の場合も、株元にアルミ箔を敷くと、
シルバーマルチと同じ効果が期待できます。
虫除けシート
・黄色い物
アザミウマは黄色いものに寄せられる習性があるため、
黄色い粘着テープをトマトのすぐ近くに設置しておくのもお勧めです。
ホームセンターや園芸店などで、園芸用の黄色テープが販売されています。
トマトに近づくアザミウマを、テープに引き寄せて捕殺する方法です。
・雑草の除去
アザミウマは園芸植物だけでなく、雑草にも寄生します。
トマトを育てている場所の周りが雑草だらけだと、
そこに寄生しているアザミウマがトマトにやってくる可能性が高くなります。
トマトの周りには、余計な植物がないようにしておくだけで、
アザミウマがくる確率が減ります。
■アザミウマ駆除方法
アザミウマが発生し、既に繁殖している場合は、薬剤を使う方法もあります。
スピノエース顆粒水和剤、ディアナSC、ハチハチ乳剤、
ベストガード水和剤などが使えます。
ただし、薬剤を使用することによって、
アザミウマの天敵であるテントウムシやカブリダニまで殺すことがあります。
天敵が減ることで、アザミウマがさらに増えてしまうこともあるので、
よく考えてから使うようにしましょう。
*詳しいトマトの栽培方法は、下記をご覧ください。
・トマト プランターの育て方
・トマト 地植えの育て方
・ミニトマト プランターの育て方
・ミニトマト 地植えの育て方
・トマト 種からの育て方
・フルーツトマトの育て方