調理用トマト 栄養と効用
調理用トマト=クッキングトマトは、日本ではあまりメジャーではありません
それは、日本人はトマトを生食することが多く、
スーパーなどでも生食用のトマトが多く販売されているためです。
では、調理用トマトと生食用トマトでは、何か栄養に違いがあるのでしょうか。
[調理用トマト 栄養と効用]
■注目成分のリコピンが豊富
調理用トマトも生食用トマトも、含まれている成分には、
それほど大きな違いはありません。
おもに含まれている成分としては、食物繊維やビタミンC、カロテンなどです。
けれど、ここで重要なのは、成分の種類の豊富さではなく、含有量です。
生食用トマトは、ピンク系と呼ばれる色が少し薄いタイプの品種が多いのに対し、
調理用トマトは赤系のトマトが多いです。
このトマトの赤い色の素となっているのが、リコピンと呼ばれる成分です。
リコピンは美容や健康に良い成分として、とても注目されています。
海外では、トマトは生食よりも調理して食べることの方が多い上に、トマトの種類が
とても豊富なため、色で生食か調理かを分けているわけではありません。
ところが、日本では生食が基本となっているため、
ピンク系トマトは生食、赤系トマトは調理用となっている場合が多いです。
このリコピンの含有量が、生食用(ピンク系)トマトと調理用(赤系)トマトでは、
調理用トマトの方が高いのです。
同じの量を食べるのであれば、やはり多くの栄養が含まれている方を食べたくなるものです。
サントリーのボンリッシュ、やや草勢が強いですが育てやすいです
■リコピンの効用
トマトに含まれている成分の中で、最も注目されているのは、やはりリコピンです。
リコピンはカロチノイドの1種で、トマトの赤い色の素となっている成分です。
このリコピンには、どのような効用があるのでしょうか。
・抗酸化作用
人が生きていく上で、呼吸は欠かせません。
この呼吸をすることで、体内には酸素が供給されます。
もちろん、酸素は生命活動においてとても大切なものなのですが、
様々なことに使われた後、余った酸素が活性酸素となります。
この活性酸素が体を酸化させ、肌の調子が悪くなったり、シワが増えたりする他にも、
血管年齢が高くなったり、動脈硬化のリスクが高まるなど、
怖い現象へつながる元となります。
これを防ぐのが、抗酸化作用です。
活性酸素を無効化させることにより、
活性酸素が起こす悪いことを予防・軽減することができます。
・抗がん作用
現代人がおそれる病気に、ガンがあります。
ガンを防ぐための研究もかなり進んできています。
その中で見つかったのが、抗がん作用のある食べ物です。
抗がん作用のある成分を持ったものを食べることにより、
日常生活の中でも無理なくガンを予防することができます。
抗がん作用がある成分としては、リコピン以外にもイソチアシソネート、
スルフォラファン、硫黄化合物などがあります。
生、加熱ともおいしいシシリアンルージュ、初めての方にも多収で育てやすいです
■ピンク系と赤系の違い
ピンク系と赤系のトマトは、どうしてリコピンの含有量の差が出るのでしょうか。
実は、色の系統が異なる以外にも、リコピン含有量に差が出る理由があります。
・収穫のタイミング
ピンク系(生食用)のトマト、赤系(調理用)のトマトの違いは、収穫のタイミングです。
生食用のピンク系トマトの場合、店頭に並べて販売する時点で色がキレイに出るように、
収穫するタイミングは完熟よりやや早めです。
以前はかなり青い状態で収穫していた時期もありましたが、
現在は流通経路が発達したことと、品種改良されたことによって、
完熟に近くなってから収獲されることもあります。
これに比べ、調理用の赤系トマトは、熟した状態で収穫されることがほとんどです。
この収穫のタイミングの違いが、リコピンの含有量に大きく影響しています。
トマトは樹上完熟させることにより、実の中に含まれるリコピンの量が増えていきます。
最もリコピンの含有量が高くなるのは、実が柔らかくなってきた過熟期ですが、
収穫後から調理までにかかる時間を考慮して、
熟期に収穫するのが最も効率的ということになります。
・加熱した方が吸収率が高い
野菜に含まれている成分の中には、生で食べた方が成分が壊れにくく、
吸収が良いというものがあります。
その場合、加熱すると成分が壊れ、吸収できるのはほんのわずかな量になります。
その反面、加熱することで吸収が良くなるという成分もあります。
リコピンは、後者の加熱した方が吸収が良くなる成分です。
そのため、生食するよりも料理した方が、吸収できる量も体に定着する量も多くなります。
吸収される量や定着する量が増えれば、
それだけリコピンが持つ効用を多く得られる可能性が高くなるのです。
そもそもの目的として、ピンク系は生で、赤系は調理して食べられることが多いため、
必然的に加熱する赤系トマトの方が、吸収率も定着率も良いという結果となります。
さらに調理用トマトの場合、油と合わせて調理することが多いです。
リコピンは油との相性が良い成分でもあるため、
油と摂取することでさらなる活躍が期待できます。
*詳しいトマトの栽培方法は、下記をご覧ください。
・トマト プランターの育て方
・トマト 地植えの育て方
・トマト わき芽かき・摘心の方法
・ミニトマト プランターの育て方
・ミニトマト 地植えの育て方
・ミニトマト わき芽かき