トマト 乱形果 奇形果
トマトは、赤くて丸い実のイメージが強いです
もちろん、品種によって形は少しずつ変わり、
ミニトマトの中には楕円形や洋ナシ形など、色々な形があります。
けれど、栽培していると、本来とは違う形の実が育つことがあります。
こういったいびつな形の実を、乱形果、奇形果と呼びます。
トマトに乱形果が発生するのは、いったいなぜなのでしょうか。
その原因と対策をまとめました。
[乱形果]
■主な症状
・実の形が変形する
乱形果の症状といえば、やはり実の形が悪くなることです。
日本で生産、流通しているトマトのほとんどが、
表面がつるりとしていて丸みを帯びています。
ところが、乱形果になると、表面がキレイな丸みを帯びた形ではなく、
凸凹になります。
また、凸凹になっていなくても、本来球形に近い形になるものが、
楕円に近いような形になったり、本来とは違った形になっていれば、
それは乱形果といって良いでしょう。
乱形果
■主な原因
・低温にあった
乱形果の主な原因は、温度によるものです。
トマトは比較的低温に耐えられる夏野菜ですが、
10度を下回ると低温障害が出やすくなります。
特に、育苗中の花芽を形成する時期に低温にあたると、花芽がきちんと充実できず、
乱形果の発生が増えます。
・高温期にホルモン処理をした
トマト栽培では、第一果房に着果させられるかどうかが、その後の収量に影響します。
そのため、第一果房に確実に着果させるため、ホルモン剤を利用することがあります。
代表的なホルモン剤には、トマトトーンがありますが、
トマトトーンの使用法の中には、20度以上の希釈率は書いてあるものの、
高温時の利用に関しては記載がありません。
もちろん、説明書通りに活用すれば、問題なく処理を終えることができ、
キレイな実を収穫できます。
注意したいのが、高温時にホルモン処理をする時の、ホルモン剤の濃度です。
トマトトーンの場合、低温時(20度以下)と高温時(20度以上)の時は、
希釈率が変わります。
低温時は50倍ですが、高温時は100倍です。
高温時にホルモン処理をする時、低温時と同じ希釈率でホルモン処理をすると、
乱形果になる可能性が高くなるのです。
ホーム桃太郎ですが、乱形果に。しかも実を盗まれました
■対策
・温度管理をする
トマトは、6度~8度くらいの低温にあたると、
どうしても乱形果が発生しやすくなります。
通常の夏秋栽培では、苗の定植後にそこまでの低温にあたることは稀ですが、
育苗期間中が低温になりやすいです。
発芽までは温度維持に気を配りますが、発芽して本葉が出てくると、
徐々に気が抜けて、うっかり低温にあててしまうという失敗は、よくあります。
多少の低温であれば、すぐに枯れてしまうということはありませんが、
後になって乱形果が発生してくるので、育苗期間中は低温に注意しながら管理します。
・ホルモンの濃度に注意
高温期であっても、ホルモン剤を利用することはできます。
ただし、トマトトーンの使用方法にも書かれている通り、20度以上になっている場合は、
希釈率が変わるので注意が必要です。
20度以下の低温なら50倍希釈にし、20度以上の高温なら100倍希釈にします。
また、ホルモン処理を行うのは、1つの花に対して1度までです。
何度も処理を行うと、これも乱形果の原因になります。
・過繁茂を避ける
株が予想以上に大きく生長し、枝が太かったり、葉色が濃くて大きくなっている時も、
乱形果が多くなりやすいです。
第一果房に着果させて肥大してくるまでは、元肥が効きすぎないよう、
多肥にしないことと、水やりをやや控えめにすることがポイントです。
■判断基準
乱形果は、低段で発生することが多い症状です。
ホルモン処理や栽培温度などに問題がなければ、
その後に大きく影響することはありません。
けれど、乱形果となった実は食味が悪く、
出荷することも難しいので、収量は一時的に落ちます。
家庭菜園であれば、次の収穫に気をつけると良いですが、
農家の場合は収入に影響するので、
乱形果にならないよう、できるだけ注意しながら管理しておきましょう。
特に、育苗中の低温による乱形果は、症状が見えるようになるまで時間がかかるので、
普段から意識して温度管理をしておくと良いでしょう。
*詳しいトマトの栽培方法は、下記をご覧ください。
・トマト プランターの育て方
・トマト 地植えの育て方
・ミニトマト プランターの育て方
・ミニトマト 地植えの育て方
・トマト 種からの育て方
・フルーツトマトの育て方