トマト 空洞果
上の画像は正常なとまとです、トマトのゼリー部分が少ない、ないものを空洞果と呼びます
トマトを栽培していて、ようやく収穫までこぎつけると、
とても嬉しい気持ちになります。
特に大玉トマト栽培では、開花から収穫までにかかる時間が、
ミニや中玉に比べて長いので、嬉しさもひとしおです。
収穫したトマトをいざ食べようと切ってみると、中のゼリー部分が少ない、
あるいはほぼない状態で、空洞ができていることがあります。
この状態を空洞果と呼びますが、この空洞果はなぜできるのでしょうか。
また、対策は何かあるのでしょうか。
[トマト 空洞果]
■主な症状
・形が悪くゼリーが少ない
空洞果の主な症状は、実の形が悪く、
中のゼリー部分が少なく、隙間があいていることです。
ゼリー部分の有無は、トマトの品種によっても差がありますが、
日本で主流となっている、生食向きのトマトであれば、
ゼリー部分が隙間なく詰まっていることが多いです。
反対に、海外で多い調理用トマトの中には、
ゼリー部分が少なく、サンドイッチに向く品種などもあります。
生食用のトマトであれば、基本的にはフレッシュな食味を期待するため、
ゼリー部分が多く含まれています。
それにも関わらず、ゼリー部分が少ない、あるいはほぼないような状態で、
果肉と中心の間に隙間ができているものは、空洞果です。
空洞果となったトマトは、ゼリー部分が少ないためか、表面もつるりとした丸みがなく、
乱形果のように凸凹としていて、形がいびつになっていることが多いです。
ゼリー部分が少ないトマト品種もあります
■主な原因
・ホルモン剤の濃度が高い
空洞果となる原因の多くが、生長速度が早すぎることです。
その原因となるのが、ホルモン剤の濃度が高いことです。
トマト栽培で使われるホルモン剤の代表といえば、トマトトーンです。
トマトトーンを利用する場合、希釈率が決まっています。
気温が20度以下の低温なら50倍、
20度以上の高温なら100倍に薄めて使います。
この時、希釈率を間違えたり、効果を高めようと濃度を高くすると、
空洞果の発生が多くなります。
空洞果は、果肉の生長とゼリー部分の生長のバランスがとれなくなることが起こります。
生長を早めるホルモン剤を高濃度で使用すると、さらに生長速度にずれが出てくるため、
空洞果の発生が多くなるのです。
・養水分過多
生長スピードがずれて空洞果が発生する原因の1つに、養水分過多もあります。
ホルモン剤を利用していなくても、養水分過多の状態になれば、
株の生育に勢いがつきすぎてしまい、空洞果となります。
・低温や高温にあたる
空洞果の原因は、生長スピードのズレの他に、
花芽がきちんと形成されていないこともあります。
正常な花芽であれば、開花した後に花粉がきちんと出て、
生殖能力の備わった雌しべに花粉が付着して受粉し、スムーズに着果・肥大していきます。
ところが、花芽に異常が出ている場合、着果不良となり、
肥大能力に欠けた実がついた場合は、空洞果となります。
花芽が分化する時期に、低温や高温にあうと、
正常な花芽が形成できず、空洞果の発生が増えます。
■対策
・栽培環境を整える
正常な生殖能力を備えた花芽を作るためには、栽培環境を整えることが重要です。
日当たりと風通しが良く、養水分に過不足がない状態が理想的です。
また、花芽分化時には、低温や高温に当てないよう、
温度管理もしておく必要があります。
トマト栽培を長く行っていると、自己流の栽培法が見つかることがありますが、
何か問題が起こった時は、基本に戻ってみると解決することが意外と多いものです。
基本に立ち返って、栽培環境に問題がないかをチェックしてみましょう。
・ホルモン剤利用時に注意
ホルモン剤を利用する時は、ホルモン剤の濃度に注意します。
どのようなホルモン剤を利用する場合であっても、適正な使用方法は決まっています。
利用法や説明をよく読み、勝手な判断をせずにホルモン処理を行います。
また、ハウス栽培でトマトを育てている場合は、ホルモン剤の代わりに、
マルハナバチに受粉を任せる方法もあります。
マルハナバチを利用した受粉方法であれば、生長速度を変えることがないため、
空洞果が発生しにくいといわれています。
■判断基準
空洞果は、乱形果とよく似ていますが、空洞のあるなしで見分けがつきます。
原因も似ているので、同様の対策を行うことで、どちらも予防できます。
*詳しいトマトの栽培方法は、下記をご覧ください。
・トマト プランターの育て方
・トマト 地植えの育て方
・ミニトマト プランターの育て方
・ミニトマト 地植えの育て方
・トマト 種からの育て方
・フルーツトマトの育て方