トマト 鉄欠乏
トマトを育てる時、実は鉄分も生育に必要です。
鉄分不足になると、人間は貧血を起こすことがあります。
ではトマトでは、鉄欠乏になるとどのような症状が出るのでしょうか。
また、鉄欠乏になる原因や対策はあるのでしょうか。
[トマト 鉄欠乏]
■主な症状
・葉脈を残して黄化
鉄欠乏のおもな症状は、葉の黄変です。
ただ、トマトに起こる生理障害や病気には、葉が黄変するものがいくつもあります。
その中でも、鉄欠乏による黄化の特徴が、葉脈がキレイに残る点です。
葉の黄化も、原因によって少しずつ変わります。
鉄欠乏の場合は、葉の外側から黄変しやすく、かつ葉脈が残ります。
葉色としては全体的に薄く見えますが、葉脈がポイントとなります。
他にも株全体を見た時に、下部と上部では、上部に症状が集中しやすいです。
ただ、鉄は微量成分と呼ばれ、窒素・リン酸・カリほどは土中に含まれていません。
トマトが要求する鉄の量もそれほどは多くないので、
土栽培で症状が出ることはあまりありません。
水耕栽培の場合は、鉄欠乏になることが多々あるので、
症状が出る前に対策が必要となります。
■主な原因
・アルカリ性土壌
土には酸度があり、植物によって育ちやすい酸度が異なります。
野菜の場合は、中性~弱酸性が良い場合が多く、トマトもそれに当てはまります。
土がアルカリ性になっていると、根がうまく機能できなくなり、
養水分の吸収がうまくできなくなります。
そういった場合に、鉄欠乏の症状も出やすくなります。
・リン酸、銅、マンガンが多い
成分には拮抗関係と呼ばれるものがあります。
お互いに作用しあうことで、吸収の妨げになることがあるのです。
鉄は、リン酸や銅、マンガンと拮抗関係にあるため、土の中に多量のリン酸などがあると、
吸収が阻害されて鉄欠乏の原因となります。
・根の活動が低下
土がアルカリ性だったり、リン酸やマンガンが多い状態でなくても、
トマトの根の調子が悪ければ、養水分の吸収がうまくいかず、鉄欠乏の症状が出ます。
過湿や過乾燥、低温などにあえば、根の活動が低下します。
■対策
・土を整える
土の酸度や肥料成分など、土の状態を整えることは、
鉄欠乏だけでなく、トマトを上手に育てるためには欠かせないことです。
土の酸度に関しては、比較的簡単に計測することができるので、
何度栽培しても調子が悪い場合は、一度計測しておくのもお勧めです。
酸性になっている場合は石灰を、
アルカリ性になっている場合は石灰などのアルカリ性資材を控え、
生理的酸性肥料を使用します。
リン酸が過剰になっている場合は、一度深くまで掘り上げて天地返しをしたり、
客土を入れて薄めると効果的です。
・水耕栽培での肥料
鉄欠乏は、土栽培よりも水耕栽培で起こりやすい症状です。
水耕栽培でトマトを育てるのであれば、溶液にクエン酸鉄やキレート鉄などを添加して、
鉄を加えるようにします。
水耕栽培は鉄欠乏が出る可能性が高いので、使っている溶液に鉄が含まれていない場合は、
予防的に溶液に鉄を加えておくのがお勧めです。
・応急処置
土栽培で鉄欠乏の症状が出た場合は、葉面散布と土への施用のどちらかが選べます。
硫酸第一鉄0.1%~0.5%水溶液、またはクエン酸鉄100ppm水溶液を散布します。
1度の散布では効果が出にくい場合があるので、1週間おきに2回~3回散布します。
土にまく場合は、50ppmキレート鉄水溶液を、1株あたり100ccずつくらい与えます。
■判断基準
葉の黄化は、様々な病気や生理障害で起こる症状です。
鉄欠乏は、葉脈が残った状態で黄化すること、株の上部に症状が出ることで判断できます。
また、土の酸度を計測した時、アルカリ性かどうかでも判断できます。
鉄欠乏は、葉以外の症状がでにくいです。
そのため、鉄欠乏でなくても、根の調子を崩した時と似たような症状が出ます。
基本的には、鉄欠乏が起こることは稀なので、
土栽培の場合は他に原因がないかをまず調べましょう。
特に根が傷むような管理をしている場合は、注意が必要です。
*詳しいトマトの栽培方法は、下記をご覧ください。
・トマト プランターの育て方
・トマト 地植えの育て方
・ミニトマト プランターの育て方
・ミニトマト 地植えの育て方
・トマト 種からの育て方
・フルーツトマトの育て方