トマト 茎の異常肥大
茎が太く、葉の色が濃いのが気になります
トマトを初めて育てた方の中には、
意外と華奢な株姿だなと感じる方がいるようです。
けれど、中にはとてもガッシリとしていて、茎が太くなっていることもあります。
実は、正常なトマトの株姿は、やや細身で華奢に見えます。
たくさんの重そうな実を支えるには、頼りなさそうに見えるほどです。
そのため、トマトの茎が異常に肥大している場合は、要注意です。
トマトの茎の異常肥大の原因や対策をまとめたので、参考にしてください。
[トマト 茎の異常肥大]
■主な症状
・茎が異常に太くなる
茎の異常肥大の症状は、見ればすぐに分かります。
茎が通常のトマトよりもかなり太く、ガッチリとしています。
しかも葉も異様に繁茂していて、大きく葉色も濃くなります。
株全体で見ればとても元気そうですが、
実際は実がほとんど肥大せず、花付きや実付き悪くなります。
・生長点異常
株全体が繁茂し、異様なまでに茎が太くなっているのとは対照的に、
生長点がとても矮小化している場合も、茎の異常肥大とともに出やすい症状です。
それまでは、葉が大きく繁茂しているのに対し、生長点付近の葉がやたら小さくなります。
これは芯止まりの前兆です。
トマトは、生長点を摘んで摘心することによって、
それ以上高く主枝が伸びないようにできます。
ところが、異常としての芯止まりでは、摘心をしていなくても、
勝手に生長点がなくなり、そのまま生長が止まります。
葉がやたら小さくなるとともに、
ブッシュのように葉数が多くなる症状が出る場合もあります。
芯止まり症状が出て生長が止まると、それ以上の高さまで生長できないため、
収量が極端に落ちます。
・異常茎(めがね)
芯止まり症状が出る頃、異常な太さになった茎に、
凹みができてくることがあります。
そのまま放っておくと、穴があいて窓あきのような状態になります。
こういった茎を異常茎やめがねと呼びます。
茎が太く、花のガクが大きく、果実の位置がおかしいです
■主な原因
・多肥、水分が多い
茎の異常肥大の原因の多くは、多肥にしていることと、水分量が多いことです。
多肥にすることで、株全体の生長が著しくなり、葉色が濃くなって繁茂します。
それとともに茎が異常に太くなり、最終的には異常茎が発生し、
芯止まり症状が出ます。
土の中の肥料が多ければ、単純に根が吸い上げる肥料成分が多くなります。
土の中の水分量が多いと、水分に肥料成分が多く溶け出るため、
さらに肥料濃度が高くなります。
水はけが悪く、土中の水分量がいつも多いような環境や、
水を多く与える管理では、茎の異常肥大が起こりやすくなります。
・高温多湿で日照不足
多肥と水分が多い環境にプラスして、高温多湿な環境な上に、
日照不足が加わると、さらに茎の異常肥大を助長します。
高温はともかく、多湿は水分量が多ければ起きる可能性が高いです。
トマト栽培では、水はけの良い状態が適しているということは、
こういったことからでも良く分かります。
トマトの水やりのコツを覚えると、ぐんと収量が増えます
■対策
・第一果房肥大まで灌水は控えめに
トマト栽培では、水やりの仕方が栽培に成功するかどうかのカギとなります。
ギリギリまで水分を控えて栽培する方法もありますが、初心者には向きません。
また、乾燥しすぎることによって起こる障害もあるので、あまりお勧めはできません。
だからといって、無理に水をたくさん与えるのも、トマトの生育には良くありません。
トマトは比較的乾燥に強い植物ですし、ある程度の乾燥を経験することによって、
根が水分を求めて広く張ります。
根が広く張れば、その分地上部の生長も期待できるようになります。
植え付け後から根が活着するまでは、あまりひどく乾燥させないようにしますが、
活着した後は、少し乾燥気味に管理します。
特に地植えの場合は、第一果房が着果し、
肥大が確認できるくらいになるまで、水やりを控えます。
こうすると、根が生育して、その後の高温期に備えることもできます。
また、水やりを控えることで、元肥が多く水分に溶けるのを防ぎ、
栄養生長と生殖生長のバランスをとりやすくできます。
・水はけの確保
土中の水分量が多くなりすぎないようにするためには、
やはり水はけの良い環境が欠かせません。
土作りをして、水はけの良い状態を作るのはもちろんですが、
高畝にして人為的に水はけを良くしておくのもお勧めです。
ハウス栽培は、高温多湿、日照不足に気をつけます
・ハウスの整備
ハウス栽培など、被覆素材を使って栽培する時、
被覆素材が汚れて透明度が下がっていると、日照不足になります。
茎の異常肥大は、高温多湿の状態で日照不足になると、
起こりやすくなります。
ハウス栽培で換気がうまくできていないと、高温多湿の環境になりやいですし、
ビニールが汚れて透明度が下がっていれば、日照不足にもなりやすいです。
栽培開始前には、一度ビニールをキレイにして設置しなおしておくと、
日照不足を防げます。
■判断基準
トマトの品種によって、基準となる茎の太さは変わります。
けれど、異常肥大した茎は、一般的な茎よりもかなり太くなるので、
症状が出ているかどうかは、比較的分かりやすいです。
また、茎が太くなっている以外の症状が出ていることも多いので、
よく観察することで、早期発見につながります。
*詳しいトマトの栽培方法は、下記をご覧ください。
・トマト プランターの育て方
・トマト 地植えの育て方
・ミニトマト プランターの育て方
・ミニトマト 地植えの育て方
・トマト 種からの育て方
・フルーツトマトの育て方