トマト リン酸欠乏
トマト栽培では、元肥や追肥が欠かせません。
トマトに与える肥料はどんなものが良いのか迷うことがありますが、
基本的には窒素・リン酸・カリが同等のものか、
リン酸が多めのものを与えるのがお勧めです。
ところが、トマトを育てている間にリン酸が足りず、リン酸欠乏になることがあります。
トマト栽培でのリン酸欠乏では、どのような症状が出るのでしょうか。
また、何か対策はあるのでしょうか。
[トマト リン酸欠乏]
■主な症状
・葉が紫がかる
リン酸は、花付きや実付きを良くする効果のある成分です。
けれど、症状が出るのは花付きや実付きだけではありません。
葉がやや小さくなり、表面の光沢がなくなります。
さらに症状が進むと、葉が紫がかったような色になっていきます。
症状は下葉から始まり、徐々に上部に広がっていきます。
生育初期に出やすく、
中期~後期になるとリン酸欠乏による葉への影響があまり出なくなる傾向が強いです。
・株全体が硬い
順調に生育しているトマトは、枝や葉がしなやかです。
リン酸欠乏の症状が出てくると、全体的にどこか硬い印象になります。
株全体が硬くなるため、生育が緩慢になってくるのかもしれません。
実際に硬さを計測するのは難しいですが、日頃の管理の中で、
トマトを触った時の感触を覚えておくと、硬くなっているかどうかが分かります。
・収量が低い
リン酸欠乏が続くと、やはり収量が落ちます。
実の肥大が悪くなり、小さくなります。
また、成熟までにかかる日数が長くなり、着果から収穫までに時間がかかります。
■主な原因
・低温による吸収阻害
リン酸欠乏は、単純に土の中のリン酸分が少ない状態でも起こりますが、
それ以外の原因もいくつかあります。
特に低温期には、リン酸をうまく吸収することができず、
リン酸欠乏となるケースが多いです。
低温になることで、根がうまく機能できなくなり、リン酸欠乏が起こります。
低温で吸収できなくなっている場合は、適温になれば戻るので、
あまり心配はありません。
・植え傷み
根がうまく機能できず、リン酸欠乏が起こる原因としては、植え傷みも大きいです。
植え付け時に、根鉢を大きく崩したり、乱暴に扱って根を何本も切ったりすると、
根が大きく傷つけられ、うまく機能できなくなります。
苗を定植した直後は、根が新しい土地に馴染むまではストレスを受けることも多く、
ちょっとしたことでも根の動きが悪くなります。
それに加えて根が切れて植え傷みが起きれば、
うまく養分を吸収できなくなっても不思議はありません。
・アルカリ性土壌
トマト栽培では、アルカリ性土壌によって、リン酸を吸収できないことがあります。
日本では雨が多く、アルカリ性土壌になることは少ないといわれています。
けれど、火山灰土など、アルカリに寄りやすい土壌も少なからずあります。
そういった土地では、自然とアルカリ性に傾き、吸収阻害が起こる可能性が高くなります。
■対策
・土壌改良
火山灰土の場合、どうしてもアルカリ性に傾きやすくなるので、
水はけの良いトマトが育ちやすい土に改良するとともに、土の酸度も調整しておきます。
火山灰土でなくても、石灰を多く入れている土はアルカリ性になりやすいので、
一度酸度を計測しておくのがお勧めです。
・根の生育を促す
根がきちんと機能し、リン酸だけでなく、
生育に必要な養水分を十分に吸い上げることができるよう、
根の生育を促すのも大切なことです。
定植時に植え傷みがないよう、苗を丁寧に扱うのはもちろん、
植え付け後に根の活着がスムーズになるよう、過度な乾燥や過湿は避けます。
また、夏秋栽培でも、定植時にまだ気温が安定していない場合が多いので、
夜間の冷えには注意が必要です。
気温の低下が懸念される時は、ホットキャップやトンネル、
簡易ハウスなどを利用すると、極端な低温を避けることができます。
■判断基準
トマトは、リン酸欠乏でなくても、単純な低温接触によって、
アントシアニンを出して葉が紫色になることがあります。
この場合は、適温になれば症状が落ち着くので、それほど心配する必要はありません。
気になるのは、薬害による葉色の変化です。
使用する薬剤や使用方法によっては、トマトの登録がある薬剤を使ったとしても、
薬害が出る可能性があります。
リン酸欠乏のような症状が出た時、
薬剤散布を近日で行ったかどうかも考慮し、診断します。
*詳しいトマトの栽培方法は、下記をご覧ください。
・トマト プランターの育て方
・トマト 地植えの育て方
・ミニトマト プランターの育て方
・ミニトマト 地植えの育て方
・トマト 種からの育て方
・フルーツトマトの育て方