千果99
千果99
千果99は、タキイ種苗が改良して作った、ミニトマトの品種です。
千果(ちか)には数種類の品種がありますが、
その中でも千果99には、どのような特徴があるのでしょうか。
また、育て方のコツもご紹介します。
[千果99]
◎コロコロぷりぷりのミニトマト
千果99は、他の千果シリーズの品種と同じように、
1粒が15g~20gほどによく揃います。
見た目は丸くて赤いので、CF千果とほぼ同じように見えます。
ただCF千果に比べると、1段に咲く花の数が少々減ります。
花の数が少なくても、その分栽培初期から安定して着果し肥大性します。
栽培期間を通して、1段に着果する実の数の増減の差があまりないので、
安定した収穫数があるのが、千果99の魅力です。
また、CF千果に比べて花数が少ない分、
全体に養分がよく回り、形やサイズがよく揃います。
千果99は、ぷりっとした真ん丸な形をしているので、
鈴なりになっている花房は、見ているだけでも嬉しくなります。
◎糖度高く食感も良い
千果シリーズはどれも食味が良いですが、
千果99も糖度が8度~10度までよく上がるので、甘みが強い品種です。
肉質は硬すぎず、けれどよく締まって緻密なので、食感も良好です。
生食に向いているので、サラダやメイン料理の付け合わせ、
お弁当の隙間埋めや色どりに重宝します。
◎黄化葉巻病に耐病性あり
千果シリーズの中で、千果99は唯一黄化葉巻病に耐病性のある品種です。
近年、黄化葉巻病によって打撃を受ける農家が増えました。
特にハウス栽培中に発生すると、ハウス内に蔓延することがあります。
これに耐える品種があれば、病気蔓延による収量減少にも効果が期待できます。
ただ、黄化葉巻病に耐病性があるからといって、
完全に防ぐことができるわけではありません。
黄化葉巻病には2つの系統があり、1つはイスラエル系統、
もう1つはマイルド系統と呼ばれています。
千果99が耐病性を持っているのは、イスラエル系統です。
マイルド系統には耐病性を持っていないため、予防は必須です。
また、イスラエル系統も絶対にかからないわけではないので、
防除は必要となります。
黄化葉巻病の他にも、葉かび病と斑点病にも耐病性があります。
さらにサツマイモネコブセンチュウに耐虫性があります。
◎スタミナを持続させるのがコツ
千果99は多収が可能な品種ですが、長期の栽培にも向く品種です。
年間どの作型にも対応でき、お勧めなのは夏に播種して越冬させる作型です。
長期間の栽培を行うなら、スタミナを持続させるのが成功のコツです。
最近は糖度を上げるために、締め作りと呼ばれる、
綿密な水分管理を行う育て方が多くなっています。
ただ、あまり極端に水やりを少なくするのは、千果99には合いません。
定植後は、根が張るまで土が乾ききらないように注意します。
その後も、生長点がやや萎れたくらいに水を与えるように心がけます。
特に追肥を行った後は、水を与えないと肥料成分が溶けず、
根が肥料分を吸い上げることができません。
草勢を維持させるためにも、適度な灌水は必要となります。
また、もともと草勢が強めの品種なので、若苗定植は避けるようにします。
若苗で定植すると、その後の草勢が強くなりすぎ、収量に影響が出ます。
目安としては、1段目の花の蕾が少し割れてからとなります。
■特徴
・人気の千果シリーズで、耐病性のある品種です。
・1粒15g~20gで豊円形、真っ赤でつやのある実が特徴です。
・糖度は8度~10度まで上がり、緻密な肉質で食味良好です。
・近年問題となっている黄化葉巻病に耐病性があります。
・黄化葉巻病は、イスラエル系統に耐病性があり、
マイルド系統には耐病性がないので防除が必須となります。
・斑点病、葉かび病に耐病性があります。
・サツマイモネコブセンチュウに耐虫性があります。
・草勢が強く多収穫なので、農家にも家庭菜園にもお勧めです。
・ハウスによる促成栽培、半促成栽培、抑制栽培、
さらに夏秋の雨除け栽培など、年中栽培が可能です。
・CF千果に比べると、1段につく花数が少ないが、
その分実の揃いが良いのが特徴です。
・栽培前半から着果・肥大が良く、早くから安定した収穫が期待できます。
■栽培のコツ
・基本の育て方は、一般的なミニトマトの育て方と同じです。
・極端に水を切って栽培することは避けます。
・栽培期間を通して、適度な灌水を心がけます。
・追肥をした後は灌水を行い、肥料成分を吸わせるようにすることで、
スタミナを維持させることができます。
・追肥は4段目が開花した頃に開始します。
・追肥は1度に多量の肥料を与えるよりも、
少量をコンスタントに与える方が効果的です。
・千果99自体は低温にもやや耐性がありますが、
ハウス内でハチを利用して受粉を行う場合は、
ハウス内の温度を高めに設定しておきます。
・ハウス内の温度により、ハチによる受粉が不安な場合は、
ホルモン剤を利用するのが良いでしょう。
*詳しいトマトの栽培方法は、下記をご覧ください。
・トマト プランターの育て方
・トマト 地植えの育て方
・ミニトマト プランターの育て方
・ミニトマト 地植えの育て方
・ミニトマト わき芽かき