パープルロシアン
パープルロシアンは、エアルームトマトと呼ばれる、固定種の中の1種です。
この品種は、フレデリック・イヌマンさんという方によって日本に紹介されました。
しかし、元々は、フレデリック・イヌマンさんの叔母である、イルマン・ヘンケルさんが、
ウクライナより持ち込んだ品種です。
日本では、ブラックトマトや黒トマトと呼ばれていて、人気の高い品種ですが、
どのような特徴を持っているのでしょうか。
また、何か特別な育て方はあるのでしょうか。
[パープルロシアン]
■パープルロシアン
◎パープル・ブラックトマトの最高品種
日本には、ブラックトマトや黒トマトと呼ばれる黒に近いトマトがあります。
この品種群の中に含まれるのが、パープルロシアントマトです。
海外ではさらに細かく分類され、パープルロシアントマトは、
パープル・ブラックトマトやブラウン・パープルトマトの中の1品種となっています。
パープルロシアントマトの姿を見れば、
パープル・ブラックやブラウン・パープルと呼ばれているのがよく分かります。
表面の皮は、未熟な頃は緑色をしていますが、
熟すにつれて、全体的に赤茶色に変化していきます。
ヘタに近い部分だけは、緑色が残ることもあるようです。
基本となる形は、プラムのような細長い形ですが、
実が大きくなった時期や株の調子により、少し丸みを帯びた、
日本で馴染みのあるトマトの形に近いものになることもあります。
珍しい色と形をしているため、日本人のトマト好きの方の中でも、
じわじわと人気が高まってきています。
全国的にはまだ知名度が低いため、
ホームセンターなどで苗が大量に流通しているところは見かけませんが、
種であればネットで購入することが可能です。
◎濃い色と深いコク
パープルロシアンは、見た目が細長い形をしていることと、
海外からやってきたトマトということで、加熱調理に向くトマトのように見えます。
けれど、実際には意外にも生食ができるトマトなのです。
洗ったものをそのままかじると、コクのあるジューシーな食味をしています。
やや皮が厚いものの、口には残りにくいので、生で食べても気になるほどではありません。
ゼリー質部分が少なく、果肉が詰まっているので食べ応えがあります。
果肉はしっかりとしていますが、加工専用のトマトに比べると、
ジューシーさがあるので、生食にも向いています。
また、そのまま食べることもできますが、
ダイスにカットしたものを、サルサなどに使うのもお勧めです。
パープルロシアンが持つ爽やかなトマトの風味と旨みが、
サルサのさっぱりとした辛さを引き立ててくれます。
他にも、水煮にして瓶詰や缶詰にしたり、
トマトピューレなどにして保存しておくのも良いでしょう。
◎裂果が少なく多収穫
パープルロシアンは、果肉がしっかりとしているため、裂果が少ないとされています。
ただ、日本で実際にパープルロシアンを育てた方によると、
雨に当たることで裂果が多くなる傾向にあるようです。
日本はどうしても雨が続く時期があるため、
雨除けをしておいた方が裂果を防げ、品質の良い実を収穫することができます。
栽培開始前には苦土石灰などを土に混ぜ、
栽培中も定期的にカルシウムを葉面散布し、補給させるのがお勧めです。
こうすることで、尻ぐされを予防することができます。
パープルロシアンは、細長いプラム形をしているためか、
ネットなどの画像だけを見ていると、中玉サイズくらいのように見えます。
ところが、実際は180g前後にまでなる大玉タイプのトマトなのです。
日本では、150g以上の重さがあるトマトは、
大玉トマトと呼ばれることがほとんどなので、
180gになるパープルロシアンは、立派な大玉品種といえます。
日本で主流となっている桃太郎トマトなどは、実を確実に大きく育てるために、
1段あたり3個~5個くらいに摘果して育てます。
パープルロシアンは株が強いため、1段に7個も実をつけさせることができます。
1段につけられる実の数が多ければ、段数が同じでもそれだけたくさん収穫できるので、
家庭菜園で育てる方には、嬉しいポイントです。
◎冷涼な地域でも育てやすい固定種
パープルロシアンは、冷涼な地域でも育てやすい品種とされています。
日本でも地域によっては、トマトも早い時期から栽培することができますが、
寒冷地では気温が高くなるのを待つ必要があるため、
なかなかトマト栽培が難しくなることがあります。
パープルロシアンは、早い時期からでも栽培が可能で、
夏が短い冷涼な地域でも、栽培・収穫が十分にできる品種として、注目されています。
また、パープルロシアンはF1品種ではなく、固定種です。
固定種の品種は、育てたものから種を採取し、
それを翌年に育てても、親と同じ性質のものが育ちます。
つまりパープルロシアンは、自家採種が可能な品種ということになります。
■特徴
・表皮が赤茶色になるエアルームトマトです。
・海外ではパープル・ブラックトマト、ブラウン・パープルトマトと呼ばれ、
日本ではブラックトマトと呼ばれるトマトの1品種です。
・最初は緑色をしている実も、熟すにつれ赤茶色になってきますが、
ヘタ際のみグリーンが残る場合があります。
・中のゼリー質が少なく、果肉がしっかりとしています。
・1玉180gの大玉サイズです。
・細長いプラム形をしています。
・株の状態や生育状況により、丸みを帯びた形になることがあります。
・旨みとコクがあり、生食でも加工食品でもおいしく食べられます。
・家庭菜園でも育てることができる品種です。
・裂果が少ない品種ですが、日本では雨が多いため裂果が多くなる場合があります。
・尻ぐされ果が出やすいことがあるので、カルシウム不足にならないように注意します。
・1段に7個の実をつけられるので、多収穫です。
・固定種なので、自家採種が可能です。
■栽培のコツ
・一般的な大玉トマトの栽培方法と同じです。
・雨に当たると裂果が多くなるので、雨除け栽培がお勧めです。
・やや線が細く腰が弱くなる傾向があるので、必ず早いうちに支柱を立てて支えるようにします。
*詳しいトマトの栽培方法は、下記をご覧ください。
・トマト プランターの育て方
・トマト 地植えの育て方
・ミニトマト プランターの育て方
・ミニトマト 地植えの育て方
・トマト 種からの育て方
・フルーツトマトの育て方