TY秀福
TY秀福
TY秀福は、カネコ種苗が改良して作った、大玉トマトの品種です。
見た目はどこにでもある普通の大玉トマトですが、実は素晴らしい性質を持っています。
TY秀福の特徴と、育て方のポイントをまとめました。
[TY秀福]
■TY秀福
◎病気に強く食味が良い
トマト栽培で近年問題になっているのが、トマト黄化葉巻病です。
トマト黄化葉巻病にかかると、生長点付近の節間が極端に短くなります。
葉は黄変して巻く症状が出た後、芯止まり状態となります。
生育が著しく悪くなり、その後の着果や肥大は望めません。
そのため、感染後は収穫できないままに栽培が終了するため、収量が激減します。
家庭菜園ならまだ良いですが、農家が出荷目的で栽培するのであれば、大問題です。
以前はトマト黄化葉巻病に抵抗性のある品種が少なく、
病気に怯えながら栽培するしかありませんでした。
現在は、トマト黄化葉巻病に抵抗性のある品種もいくつか出てきました。
TY秀福もその1つです。
トマト黄化葉巻病にはタイプが2つあり、
品種によってはどちらかだけに抵抗性を持っている場合もあります。
TY秀福は、イスラエルとマイルドの両方に抵抗性があります。
トマト黄化葉巻病に抵抗性のある品種は、食味に満足できないことがありました。
TY秀福は病気に強いだけでなく、食味の良さもあわせて改良されています。
1個は200g前後と、ほどよいサイズ感です。
大玉トマトとして食べやすいサイズ感なので、
たくさんあっても持て余すことがなく、消費できます。
形は豊円形で、色は濃い桃紅色で赤色に見えるほどです。
濃い緑色のヘタとの色の対比も良く、見栄えがします。
肉質はやや硬めなので、熟してから収穫することが可能です。
裂果にも強いので、十分に熟して旨みや甘みがのってから収穫できます。
硬めの肉質を生かし、輪切りにしてサラダや料理に使っても崩れにくく、扱いやすいです。
甘さと酸味のバランスも良いので、たくさん食べても食べ飽きません。
◎安定した草勢
TY秀福の草勢は中程度で強すぎることがないため、コントロールがしやすいです。
さらに、栽培期間を通して草勢が安定しているので、着果数や肥大も安定しています。
早生タイプなので、初期生育をスムーズに過ごせれば、
その後の収穫までは早いです。
トマト黄化葉巻病以外にも、色々な病気に強いのも、TY秀福の特徴です。
トマト黄化えそ病、葉かび病、萎凋病、半身萎凋病、トマトモザイクウィルス、
斑点病に耐病性があります。
さらに、サツマイモネコブセンチュウに耐虫性があるため、安心して栽培できます。
草勢が安定しているTY秀福ですが、スタミナはそれほど強くありません。
無理に長い期間栽培すると、せっかくの耐病虫性が発揮できないこともあるため、
注意が必要です。
最大でも10段以下の栽培であれば、特性も発揮できるのでお勧めです。
作型は、ハウスを利用したものが合っています。
抑制栽培や無加温栽培、雨よけ栽培が適しています。
◎初期生育を強めに
TY秀福は草勢が決して強くはないため、初期生育がどれだけスムーズにできたかで、
その後の収量が変わります。
一般的なトマトの場合、苗の定植は一番最初の蕾がついた状態、
あるいは咲きかけているくらいが適しているといわれています。
けれどTY秀福の場合は、若苗定植が推奨されています。
若苗定植にすると、初期の栄養生長が強くでるため、
トマト栽培では敬遠されることが多いです。
けれど、TY秀福のようなタイプは、わざと若苗定植を行い、初期生育を促します。
初期の栄養生長が強くなることで、早いうちに株が充実します。
初期の株の充実が悪いと、花付きや実付きが悪くなり、
肥大性も悪く良いトマトが収穫できません。
もともと草勢が強くない品種なので、むしろやや草勢を強めにする管理をすることで、
勢いがついて収量がアップします。
■特徴
・近年問題になっているトマト黄化葉巻病に耐病性を持っている大玉トマトの品種です。
・1個が200g前後とほどよいサイズ感で、豊円形で親しみやすいです。
・色は濃い桃紅色で、赤色に見えるほどです。
・濃い桃紅色と濃い緑色のヘタの配色が素晴らしく、色周りが良いのムラなく着色します。
・肉質はやや硬めで、収穫後の劣化が少なく店もちが良いです。
・甘さの中に程よい酸味もあり、バランスの良い食味です。
・肉質が硬めなので、熟してからの収穫が可能です。
・裂果もしにくい性質なので、熟して甘みや旨みがのってから収穫することで、
本来のおいしさを発揮できます。
・切っても果肉が崩れにくく断面も美しいので、丸かじりはもちろん、
カットしたり、スライスしたりして、サラダなどの料理に使うのもお勧めです。
・草勢が中程度で管理しやすく、安定した着果や肥大性、収量が期待できます。
・トマト黄化葉巻病の他にも、トマト黄化えそ病、葉かび病、萎凋病、半身萎凋病、
トマトモザイクウィルス、斑点病に耐病性があります。
・サツマイモネコブセンチュウに耐虫性があります。
・作型は、ハウス抑制栽培やハウス無加温栽培、ハウス雨よけ栽培が適しています。
■栽培のコツ
・基本の育て方は、一般の大玉トマトと同じです。
・苗は若苗を植え付け、初期の栄養生長を促して株の充実をはかります。
*詳しいトマトの栽培方法は、下記をご覧ください。
・トマト プランターの育て方
・トマト 地植えの育て方
・ミニトマト プランターの育て方
・ミニトマト 地植えの育て方
・トマト 種からの育て方
・フルーツトマトの育て方