京てまり トマト
京てまり C)京の老舗の果物屋 鳥羽伊三
京てまりは、京都市と京都大学教授が協力して作った、
ミニ~中玉トマトの品種です。
どこかはんなりとしていて、雅な雰囲気の漂う、
京都ならではの雰囲気を持っているのが、京てまりです。
京てまりには、どのような特徴と魅力があるのでしょうか。
[京てまり トマト]
■京てまり トマト
◎京都発の中玉トマト
京てまりは、京都市と京都大学の教授が協力して作った品種で、
新京野菜に定められたトマト品種です。
新京野菜とは、古くから栽培され愛されてきた京野菜とは別に、
京都の風土に合った新しい野菜のことを指します。
現在は京てまりを含めた6品種が新京野菜に指定されています。
この新京野菜たちも、長く栽培して愛されていくことによって、
現在の京野菜と同様に、伝統的な野菜になることでしょう。
そんな新京野菜に定められている京てまりは、
一般的なミニトマトよりも、一回りくらい大きくなります。
そのため、サイズとしてはミニ~中玉くらいのサイズとなり、
ちょうどサラダや付け合わせ、おやつとして食べるのにぴったりなサイズ感です。
果肉が厚く、甘みが強いのが特徴です。
トマト特有の青臭さや酸っぱさがほとんどなく、
旨みと甘みだけを前面に押し出しています。
さらに、一般的なトマトに比べ、
ベータカロチンやビタミンCといった栄養素が多く含まれています。
◎不思議な種なしトマト
京てまりの特徴は、食味の良さだけではありません。
なんと、京てまりは種なしトマトなのです。
種なしスイカなどは有名ですが、種なしトマトは聞くのが初めてという方もいるでしょう。
種なしにできる秘密は、京てまりが単為結果という性質を持っていることです。
通常、植物は開花した後に受粉し、受精することで実をつけます。
ところが単為結果の性質をもったものは、受粉しなくても実をつけるのです。
この単為結果の性質を持っている代表的な野菜は、キュウリです。
キュウリは雄花と雌花が別々に咲くタイプの植物ですが、
わざわざ受粉しなくても結実することがほとんどです。
もちろん、中には受粉した方が着果しやすい場合もありますが、
たいていは単為結果で実がなります。
京てまりにも、これと同じ性質が備わっているのです。
トマト栽培では、1段目から着果させることによって、実付きを良くします。
この時、受粉が必要な従来のトマトでは、
確実に受粉させるために、人工受粉を行います。
家庭菜園レベルなら、人工受粉もそれほど手間ではありませんが、
農家となれば膨大な数のトマトを受粉しなければいけません。
省力化するために、ホルモン剤を利用することもあります。
その点、京てまりは実をつけるのに受粉が不要なので、
人工受粉の手間もなければ、ホルモン剤を利用する必要もないのです。
◎生から加熱、加工まで
京てまりは、食味が非常に良いです。
単為結果の性質を持っているため、種ができません。
そのためか、ゼリー部分の量が、一般的なトマトに比べて少ないです。
このゼリー部分の食感やゼリー部分の酸味がトマト嫌いにつながることもあります。
京てまりはゼリー部分が少ない分、ぬるぬるとした食感が少なく、
酸味も抑えられています。
また、ゼリー部分が少ないために、果肉に厚みがあります。
そのまま冷やした京てまりを切って食べるだけでもおいしいですし、
サラダなどの具にしても良いでしょう。
また、加熱調理することもできます。
出汁で他の夏野菜と一緒にさっと煮れば、おいしい夏の煮物ができあがります。
さらに、ミキサーなどにかけてピューレにするような加工にも向いているので、
オールマイティーな活躍が期待できます。
■特徴
・京都市と京都大学の教授が作ったミニ~中玉トマトの品種です。
・一般的なミニトマトより、一回り大きいサイズに育ちます。
・球形で色は鮮やかな赤色をしていて、どこか雅な雰囲気があります。
・単為結果の性質を持っているため、トマトでは珍しい種なし品種です。
・単為結果のためゼリー部分が少なく、
酸味やぬるっとした不快な食感がかなり少ない品種です。
・ゼリー部分が少ない分、肉厚で甘みが強く、食味の非常に良いトマトです。
・単為結果で着果できるため、人工受粉やホルモン剤の利用の必要がありません。
・冷やしトマトやサラダなどの生食の他、煮物などにも使えます。
・トマトピューレなどに加工することも可能です。
・一般的なトマトに比べ、ベータカロチンやビタミンCが多く含まれています。
■栽培のコツ
・まだ新しい品種のためか、苗が一般販売されていないようです。
*詳しいトマトの栽培方法は、下記をご覧ください。
・トマト プランターの育て方
・トマト 地植えの育て方
・ミニトマト プランターの育て方
・ミニトマト 地植えの育て方
・トマト 種からの育て方
・フルーツトマトの育て方