エアルームトマト
エアルームトマトと呼ばれる、特別な品種群があります。
家庭菜園をしている人も、あまり耳にすることはないかもしれません。
エアルームトマトは、いったいなんなのでしょうか。
[エアルームトマト]
■移民が育てたエアルーム
エアルームトマトとは、簡単にいうと、海外で固定化された品種のトマトです。
言葉で書くと、簡単なもののように感じますが、実際はとても奥の深いものです。
世界各国の人々が、北米などに移民として訪れた時、
それぞれの国で育てられてきた野菜の種も、一緒に持ち込まれました。
その野菜の種は、それぞれの家族や集落の中だけで大切に育てられてきました。
元々の国とは、気候などが異なることもあったでしょう。
そんな中で、新しい国に合うように、トマト自身が何代もかけて変質し、
その土地に合うようになっていったのです。
そうやって固定化された品種を、エアルームと呼んでいるのです。
エアルーム品種は、移民してきた種族によって育てられてきた植物のため、
種類は非常に多いと考えられています。
トマトだけでも、800種以上はあると考えられていて、
中には5000種を超えているという見解もあるほどです。
しかもエアルームと呼ばれるのは、トマトだけではありません。
その他の野菜にも、エアルームと呼ばれるものがあるため、
総数となると相当な数になるはずです。
■日本の在来種とは少し違う
日本にも、在来種と呼ばれる固定種があります。
けれど、エアルームと日本の固定種も、少し異なります。
エアルームが移民によって外の国から持ち込まれ、
何代もかけて性質を変化させてその土地に合わせるようになったのとは違い、
日本の在来種は、元から日本の気候に合う性質を持っています。
もちろん、どちらも自家採種が可能な品種なので、親株からとった種を播けば、
また同じ性質のトマトを育てることができます。
F1品種は、一代限りの性質のため、自家採種したものを播いても、
親と同じ性質には育たないことがほとんどです。
エアルームトマトも日本の在来種も、
自家採種が可能という点では、共通しています。
■エアルームならではの魅力
エアルームトマトには、エアルームトマトならではの栽培の魅力があります。
エアルームトマトの魅力を知れば、興味をひかれること間違いありません。
・何代も育てられる
エアルームトマトの苗は、ほとんど出回ることがありません。
インターネット通販でも取り扱われることは稀で、入手できる数も時期も限られています。
どちらかというと、種の方が入手しやすいのですが、こちらも単価としてはかなり高めです。
ただ、1度育てることができれば、種を採取することで、何代も栽培が可能です。
初期投資としては高めですが、自家採種に成功すれば、
種を毎年購入する必要がないので、経済的でもあります。
また、自分の手で育てたトマトから種をとり、そこからまた育てると、
そのトマト品種に対して、愛着がわきます。
何代も大切に育て続けることで、移民した人たちの気持ちも感じられるかもしれません。
・分からないものを理解する楽しみ
エアルームトマトは、もともと育てられていた国での性質もありつつ、
新しい土地で形成された性質も持ち合わせています。
その性質がどのようなものかが分かっている品種もありますが、
まだまだ謎が多いのが現状です。
その「分からないもの」を、育てていくことで理解することができるのが、
エアルームトマトの醍醐味でもあります。
品種によっては、日本の気候に合わないものも、もちろんあります。
その合わない品種を育てられた時の喜びもありますし、
かつてのエアルームトマトがそうであったように、
何代もかけて日本の気候に合わせることができるかもしれないという希望もあります。
どのような育つか分からないワクワク感も、エアルームトマトの魅力です。
・他にはない食味や見た目
日本でのトマトのイメージといえば、赤くて丸いものです。
けれど、エアルームトマトには、色々な外見のトマトが存在します。
実がとても大きいものや小さいもの、丸いものやとんがったもの、
黒色をしたものや白いものなど、本当にたくさんあります。
中には、ゼブラ柄などの模様が入るものもあり、とても面白いです。
見た目だけでなく、食味にもそれぞれの違いがあります。
果肉が硬いもの、柔らかいもの、加熱調理に向くものや生食向きのもの、
またドライトマトにするのに適したものなど、日本では考えられない
ような性質を持ったものもあります。
日本のスーパーではまず見かけない、
園芸店の苗売り場でも見ることのない品種が、エアルームトマトにはたくさんあります。
種は楽天市場でも、取り扱われています。
*詳しいトマトの栽培方法は、下記をご覧ください。
・トマト プランターの育て方
・トマト 地植えの育て方
・ミニトマト プランターの育て方
・ミニトマト 地植えの育て方
・トマト 種からの育て方
・フルーツトマトの育て方