サンマルツァーノ
サンマルツァーノ
サンマルツァーノは、加工用のトマト品種です。
イタリアントマトの中でも、日本では有名で人気の高い品種です。
サンマツルァーノという名前がついている品種でも、
サンマルツァーノ・リゼルバやサンマツルァーノ・レッドマジック、
サンマルツァーノ・ベビードッグなどの品種もあります。
これらのサンマルツァーノも、加工用のトマトとしてとても優秀な品種ですが、
本種のサンマルツァーノとの大きな違いは固定種かどうかです。
レッドマジックなどのサンマルツァーノは、同じサンマルツァーノでもF1のため、
種をとって育てても同じ性質に育つことはありません。
本種のサンマルツァーノは固定種なので、
種をとれば何代でも同じ性質のトマトを育てることが可能です。
F1種も育てやすさなどの良い特徴がたくさんありますが、
オーソドックスなサンマルツァーノを長年にわたって育てたいのであれば、
本種を選ぶのがお勧めです。
サンマルツァーノの最大の特徴は、やはり加工をすることで良くなる味わいです。
生のままでも食べられないことはありませんが、
一般的な生食用のトマトに比べると粉っぽく、
そのまま食べても決しておいしいとは言えません。
ところが、火を通すと途端にそのおいしさが分かるようになります。
軽くソテーをするだけでも風味が変わったことが実感できますが、
サンマルツァーノの真価を発揮できるのは、やはりソース系です。
ミートソースやケチャップ、ピューレなどはもちろんですが、
トマト缶の代わりにシチューやカレーなどに使えば、味がぐんと良くなります。
トマトソースを作っておくと料理に大活躍します
日本で最も広く知られている桃太郎は、
甘さと酸味のバランスが良く、生食に向いている品種です。
桃太郎と比べると、サンマルツァーノは酸味が少なく、
ほのかな甘みとトマトの風味がする程度です。
生だととても味が薄いのですが、火を入れることで香りが強くなり、
旨みとコクが濃厚になります。
酸味が少ない分、トマトの香りと甘さを存分に味わうことができるのも、
サンマルツァーノの特徴です。
同じ作り方でトマトソースを作ると、桃太郎はサラサラとしてパスタに絡みにくく、
酸味がある分さっぱりとした仕上がりになります。
それに対しサンマルツァーノは、パスタに絡みやすい濃いソースになります。
そのままでも濃厚な味に仕上がるサンマルツァーノのソースですが、
パスタに絡みやすい分、さらに濃厚に感じられるようです。
そもそも、サンマルツァーノは果肉がとても厚く、少し硬めです。
その割りには皮は薄くて柔らかく、中のゼリー質の部分や種がとても少ないです。
そのため、火を入れることで果肉が柔らかくなり、風味が濃厚になります。
丸ごと火を入れると煮崩れにくいのですが、刻んで火を入れて混ぜていくうちに、
果肉がとろけてなめらかなソース状になります。
この特徴を生かして、缶詰のような水煮を作り、冷凍保存しておくと便利です。
保存が効くなら、栽培して多く収穫できても安心です。
◎加湿と多肥に気をつけます
海外の野菜は日本では育てにくいこともありますが、
サンマルツァーノはもともとの性質が強く、日本でも育てることができます。
最近では家庭菜園で育てられることも増え、
毎年ホームセンターなどで苗や種が並ぶようになってきました。
草勢はとても強く、栽培初期からぐんぐん伸びますが、
梅雨明けまでの日照時間が短いうちは、土が湿りすぎることがあるので、
雨除けなどをして調整しておくと安心です。
サンマルツァーノの実は縦長でお尻の方が少し膨らんだ形をしていますが、
栽培している環境によっては、お尻が細くなることもあります。
濃い赤色は火を通してもキレイに残るので、
ケチャップなどにした時にも色がとても映えます。
性質が丈夫なサンマルツァーノですが、過湿や過乾燥には敏感なので、
乾燥と過失の幅が広くなる栽培方法は合いません。
草勢がとても強いので、窒素分の多い肥料を元肥としたり、
窒素が多くなるように調整していると、あっという間に樹ボケ状態となります。
肥料の中でも窒素は特に控えめにしておいて構いません。
[サンマルツァーノ]
■特徴
・1玉100gほどの中玉種です。
・縦長の形をしていて、加工用に適したトマトです。
・皮は薄く柔らかいですが、果肉は厚くしっかりとしています。
・生では粉っぽく味が薄いですが、火を通すと濃厚な風味と旨み、コクが生まれます。
・ゼリー質と種が少ないので、そのまま料理に使って水っぽくなりません。
・真っ赤な色が火を通しても残ります。
・トマトソース、ケチャップ、ピューレはもちろん、スープなどの具としても使えます。
・性質はとても丈夫で生育旺盛です
・窒素が多い土だと樹ボケしやすくなるので注意します。
・極端に湿気たり、乾燥させたりすると生育が悪くなります。
■栽培のコツ
・基本的なトマトの育て方で問題ありません。
・肥料過多(特に窒素)には注意します。
*詳しいトマトの栽培方法は、下記をご覧ください。
・トマト プランターの育て方
・トマト 地植えの育て方
・ミニトマト プランターの育て方
・ミニトマト 地植えの育て方
・トマト 種からの育て方
・フルーツトマトの育て方