トマト 株は育つが実がならない
トマトの実が、あまりなりません……
トマトは家庭菜園でとても人気が高く、ミニから大玉までよく栽培されています。
初心者の方でも育てやすく、新鮮でおいしいトマトが食べられるので、
夏野菜なら、まずはトマトを育ててみたいという方も多いです。
そんなトマトですが、初心者の方に限らず、
なぜか株は育つが実がならないという状態になることがあります。
トマトの株自体は大きく生長し、一見すると問題がないように見えるのに、
どうしてトマトの実がならないのでしょうか。
[トマト 株は育つが実がならない]
■過繁茂(樹ボケ)
トマト栽培で、株が育っているのに実がならない状態になる原因で、
最も多いのが、過繁茂(樹ボケ)です。
見た目は、葉や茎の緑も濃く、枝が太く葉も大きく育つため、
とても元気に育っているように見えます。
もちろん、病気の症状などが見られないのであれば、元気に育ってはいます。
ただ、過繁茂(樹ボケ)の状態になると、実がつきにくくなるのです。
フルティカ、窒素過多でうどんこ病に
トマトに限らず、多くの植物は栄養生長と生殖生長という2つの生長があります。
栄養生長は、茎、葉、根など栄養器官を作り自分自身を強くする生長で、
生殖生長は、花、果実、実など子孫を作るための生長です。
どちらが過剰になっても良くないのですが、
特に果菜類は、栄養生長が強くなりすぎると、実がつきにくくなります。
この栄養生長が強くなりすぎた状態を、過繁茂(樹ボケ)と呼びます。
過繁茂にしないためには、元肥や追肥で与える肥料の量を、
適切にすることが大きなポイントです。
特に元肥が多いと、初期生育で勢いがつきすぎるため、
栄養生長に傾きやすくなります。
また、与える肥料は、窒素・リン酸・カリが同等か、リン酸が多めのものを選びます。
窒素は茎葉を育てて、株を大きくする肥料要素です。
窒素過多の状態になると、栄養生長が強くなり過繁茂になりやすいので、
与える肥料の成分にも注目しましょう。
肥料過多になると、枝葉が繁茂したり、葉や茎の色がやたらと濃い状態になったり、
めがねなどの異常茎、奇形果が発生します。
与えている肥料が適量かどうかは、トマトの様子を見ているとよく分かるので、
トマトが出しているサインを見逃さないようにしましょう。
こちらも窒素過多、用土に前作の肥料があることを計算にいれずに土づくりをしたためです
■日照不足
日照不足になると、株自体も満足に育たないケースが多いですが、
中には株自体の生長には異常が見られない場合もあります。
ただ、健全に育っている株と比べると、ひょろっとしていて、弱々しいのが特徴です。
家庭菜園では、数株だけ育てるのが精一杯ということも少なくありません。
そのため、健全に育っている株との比較ができず、
日照不足に陥っていることに気づかないことも多いのです。
葉と葉の間の節が間延びしたように長い株や、
葉色が薄い株は、日照不足の可能性があります。
トマトは太陽の光が大好きな植物です。
日照不足になると、株の生長に異常がないように見えても、
どこか弱々しく、花数が少なくなったり、咲いた花の質が悪くなります。
なんとか着果した実があっても、肥大がやたらと遅かったり、
予想しているより肥大せずに色づく場合は、日照不足の可能性が高いです。
トマトは一段目の着果がとても大切なので、人工授粉をすると安心です
■1段目の着果ができていない
トマトの茎や葉はある程度生長し、草丈も高いのに、着果する数が少なく、
思っているほどの数の実がならないことがあります。
これはもしかすると、1段目の着果ができていなかったのかもしれません。
トマトは1段目の花が咲き始めた頃に、苗を定植するのが基本です。
この時期に定植し、1段目で咲いた花に着果させることにより、
その後の生育を生殖生長に、つまり結実させることに傾かせることができます。
ところが、1段目でうまく着果させることができないと、
栄養生長に傾きやすくなり、うまく着果ができなくなります。
栄養生長に傾いていますが、肥料が適切である場合、過繁茂にはなりません。
花の数が少なかったり、咲いた花がすぐに落ちたり、着果しなかった場合は、
1段目の着果が原因である場合が多いようです。
1段目で着果せず、栄養生長に傾いているため、質の良い花が咲かず、
うまく着果できていない可能性が高いのです。
1段目できちんと着果させるには、定植後の適温を保ち、受粉を確実に行います。
トマトの苗を定植した後、低温が続くと花の質が落ち、
受粉がうまくできないことがあります。
また、低温でなくても、風や虫の媒介がなく、うまく受粉できないこともあります。
低温が続く場合は、ホットキャップやトンネルなどを利用して保温したり、
寒風が当たらないようにしておくと良いでしょう。
1段目が開花した時に、花の中を筆で軽くなぞったり指で弾いたり、
ホルモン剤を用いたりして、人工受粉をしておくと安心です。
*詳しいトマトの栽培方法は、下記をご覧ください。
・トマト プランターの育て方
・トマト 地植えの育て方
・ミニトマト プランターの育て方
・ミニトマト 地植えの育て方
・トマト 種からの育て方
・フルーツトマトの育て方