トマト 窒素過剰
全体に色が濃く茎が太く葉が大きい、芯止まりも見られます
トマト栽培では、色々な養分が必要になります。
必要な分が足りないと、欠乏症になることもあるので、注意が必要です。
欠乏症になると、様々な症状や不具合が出ますが、
実は養分が多すぎて過剰になっても、良いことはありません。
今回は、養分の基本となる窒素が多い場合の、窒素過剰についてまとめました。
[トマト 窒素過剰]
■主な症状
・葉色が黒く過繁茂
窒素は、葉や茎を大きく育てる効果がある養分です。
そのため、窒素過剰になると、葉や茎に異変が出ます。
本来、青々とした葉の色が濃い緑色を越えてどす黒くなり、
葉の重みやサイズも、通常より大きくなります。
さらに、葉が厚くなり、重量感のある印象となります。
色の濃さは株全体にあらわれ、
通常よりも葉が大きく茎もよく生育して脇芽もよく発生するため、
ジャングルのような過繁茂になることも多いです。
窒素過剰が強く出て、症状が末期になってくると、
葉色は濃いままに葉の形が小さくなり、茎も細くなります。
葉が小さく茎も細いと、肥料が足りないように見えますが、
葉色が濃い場合は窒素過剰の可能性が高いです。
下位葉が大きく巻いています
・葉が巻いて黄化する
窒素過剰になると、下位葉が巻く症状も出ます。
症状が進むと、葉の巻き方も激しくなり、一部に葉脈間の黄化も見られるようになります。
尻腐れ症状が出ているのは、茎の太さや濃さを見ると窒素過剰の可能性があります、
実のサイズも小さいです
・尻腐れ症状
トマトの尻腐れ症状といえば、カルシウム欠乏で起こる症状ですが、
実は窒素過剰でも出ることがあります。
単なるカルシウム欠乏であれば、葉面散布でも回復できますが、
窒素過剰が伴っている場合は、対策が異なるので注意が必要です。
また、窒素過剰を伴っていない尻腐れ果は、実の大きさはあまり通常と変わりません。
対して窒素過剰を伴った尻腐れ果は、実の肥大性が悪くなるため、
通常よりも実のサイズが小さいのが特徴です。
■主な原因
・肥料の窒素が多い
窒素過剰になるほどの窒素量になるということは、
単純に肥料の窒素量が多い可能性が高いです。
トマト栽培では、窒素・リン酸・カリが同等か、
リン酸やカリがやや多めのものを選ぶのが基本です。
ただ、家庭菜園では、3つの要素が入った肥料を選ぶことが多いですが、
プロの農家などであれば、多量に使用することも考え、
それぞれの要素をどれだけ入れるかという施肥設計を立てることが多いようです。
この時、窒素単体の施用があまりにも多すぎると、窒素過剰となります。
また、窒素が大量に土に残っているところに、さらにたくさんの窒素を入れれば、
窒素過剰になる可能性がぐんと高くなります。
■対策
・施肥設計を考える
窒素過剰を防ぐなら、やはり施肥設計をきちんとしておく必要があります。
窒素過剰になることが多い畑なら、
一度EC(土壌電気伝導度)を計測してみるのがお勧めです。
計測した時の数値が高ければ、それだけ土に残った肥料成分が多いことを示します。
EC測定器は2千円から数万円までさまざまですが、インターネット通販でも購入でき、
ホームセンターの中には取り扱いがあるお店もあります。
EC測定の結果から、肥料過剰だけでなく、栄養が足らないことも分かるので、
施肥設計の立て直しに役立ちます。
・夜温を低くする
夜温が高いと、窒素の吸収が促され、過繁茂の症状が進みます。
夜温を低めにしておくことで、過剰な生育を抑えることができます。
・灌水量を増やす
灌水量を増やすことで、一時的に窒素の効きが強くなりますが、
窒素は水に溶けやすく、流亡しやすい性質があります。
そのため、続けていると窒素が薄まり、窒素過剰が軽減されます。
尻腐れの症状が出ている場合、乾燥が原因の1つになっている可能性もあるので、
灌水量を増やすことで、尻腐れの症状も和らげることができます。
■判断基準
トマト栽培では、窒素過剰が意外と起こりやすいです。
ただ、与える肥料の量や種類に注意すれば、
基本的には回避しやすい生理障害でもあるので、
むやみに肥料を多く与えないように心がけることが大切です。
起こりやすい生理障害である分、症状は分かりやすいので、
日頃からトマトの様子を観察しておきましょう。
*詳しいトマトの栽培方法は、下記をご覧ください。
・トマト プランターの育て方
・トマト 地植えの育て方
・ミニトマト プランターの育て方
・ミニトマト 地植えの育て方
・トマト 種からの育て方
・フルーツトマトの育て方