トマト 高塩類障害
トマト栽培に限ったことではありませんが、植物を育てていると、
思わぬところでつまづくことがあります。
その1つが、高塩類障害です。
文字通り、土中の塩分濃度が高いために起こる障害ですが、
土を見ただけでは、塩分濃度は分かりません。
高塩類障害は、なにが原因で起こるのでしょうか。
また、トマトが高塩類障害を起こすと、どのような症状を出すのでしょうか。
[トマト 高塩類障害]
■主な症状
・葉の硬化と矮化
高塩類障害の症状で多いのが、葉への影響です。
葉色がかなり濃くなるのが特徴で、生育初期から葉色の濃さが強調されます。
さらに、葉が硬くなり、正常なトマトのようにやわらかな葉にはなりません。
細胞が固まっているためか、葉が展開しても大きくはならず、矮化して小さくなります。
また、葉枯れの症状も出ます。
ただ、葉全体が枯れるというよりは、葉の縁だけが枯れることが多いです。
・実の異常
高塩類障害の場合、実にも症状が出ます。
実の肩部分の緑色が強く残り、中間や尻部分の色と比べると、かなりの色差が出ます。
普通のトマトも、着色途中は肩部分に緑が残ることがありますが、
尻部分との色差が強く出るということはあまりありません。
また、高塩類障害の場合、着色が完了しても肩の緑色が残ります。
まだ尻部分が着色していないうちでも、肩とそれ以外の濃淡の差が強いのが特徴です。
さらに、石灰を十分に施用しているにも関わらず、尻腐れ症状が出やすくなるのも、
高塩類障害の症状です。
■主な原因
・塩類の蓄積
普通に植物を栽培していて、塩類が土に蓄積されることは、あまりないように感じます。
ところが、意外と塩類が溜まりやすくなることがあるのです。
肥料の中には、塩安や塩加などのように、塩化物が含まれているものもあります。
そういった肥料を多用していると、知らないうちに塩類が蓄積し、
塩類濃度が高い土壌となってしまいます。
塩化物を含む肥料だけでなく、家畜の糞尿を多量に使用することも、
塩類濃度を高める原因となります。
また、ハウスや温室などの施設栽培も、塩類が蓄積しやすいといわれています。
・海が近い
日本は島国のため、海が近い地域が多いです。
海が近くても、海水をまいているわけではないので、
塩類が土に溜まることはないと思われがちですが、そんなことはありません。
潮風など、なんらかの影響によって、海が近いことによって、
土中の塩類濃度が高くなることがあります。
■対策
・肥料の量と種類
高塩類障害を出さないためには、塩類を蓄積させないことが重要です。
使っている肥料がどのようなもので、
いつもどれくらい施用しているのかを確認してみましょう。
いつも何気なく使っていた肥料にも塩化物が含まれていて、
それが塩類蓄積の原因になっているかもしれません。
また、家畜の糞尿など、塩類蓄積の原因となるようなものを、
多量に使っていないかどうかも、チェックしておきましょう。
けして使ってはいけないということではなく、施用量を調整することで、
塩類の蓄積を軽減することができます。
・栽培中の灌水量を増やす
栽培中の灌水量が少ないと、どうしても土中に色々な成分が残りやすくなります。
塩化物を含む肥料を使っている場合、水分が足りないと塩分が水にとけて出て行かず、
堆積する原因となります。
もちろん、水を与えすぎると過湿になるため、水のやり過ぎは禁物です。
けれど、適度な水分を与えることは、トマトを健全に育つためにも必要ですし、
土を良い状態で保つためにも必要です。
・休んでいる間に除塩する
栽培が終わった後、畑を休ませるのであれば、その間に塩類除去をしておきましょう。
簡単に済ませるのであれば、灌水をして文字通り水で流す方法があります。
他にも、クリーニングクロップと呼ばれる、
植物を栽培して土中の成分を吸収させることで、リセットする方法もあります。
塩類除去に効果的なのは、ソルガムやギニアグラスなどです。
■判断基準
葉色が濃い点は、窒素などの肥料過多による症状と似ていますが、
その場合は実に異変は見られません。
また、葉が矮化することもなく、
どちらかというと大型化して過繁茂状態になることも多い点で見分けることができます。
*詳しいトマトの栽培方法は、下記をご覧ください。
・トマト プランターの育て方
・トマト 地植えの育て方
・ミニトマト プランターの育て方
・ミニトマト 地植えの育て方
・トマト 種からの育て方
・フルーツトマトの育て方